『ラ・ラ・ランド』〜『セッション』監督が贈る珠玉のミュージカル映画〜

昨年末、本当に素晴らしい映画を観ました。是非、日本でも皆さんに観ていただきたいと思いこのような形を取らせていただきました。その映画がこちら、

 

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『ラ・ラ・ランド』(原題: La La Land)

監督: デイミアン・チャゼル

出演: エマ・ストーンライアン・ゴズリング、J.K.シモンズ

公開: 12/25/2016(U.S.), 2/24/2017(JPN)

あらすじ: ハリウッド女優になることを夢見るミア(エマ・ストーン)と、自分のジャズ音楽の店を持つことを夢見るセバスチャン(ライアン・ゴズリング)。この2人がひょんなことから出会い、恋に落ちるのだが…

予告編: https://youtu.be/tlyqz57sHgM

 

   今年度、世界三大映画祭の1つトロント映画祭では観客賞(最高賞)を受賞、さらにベネチア映画祭ではエマ・ストーンが主演女優賞を受賞した、今年度アカデミー作品賞最有力候補の呼び声高いこの『ラ・ラ・ランド』。(洋画の日本語版ポスターのアカデミー賞最有力候補!みたいなのは大抵信じるなって僕はいつも言ってるんですが、今回は本物なのでまあよしとしましょう。) 主演を務めるのは『ドライヴ』のライアン・ゴズリングと『アメイジングスパイダーマン』でヒロインを演じたエマ・ストーンです。実はこの映画、制作がアナウンスされたとき映画ファンの間では凄く期待されていたんです。というのが、今作の監督デイミアン・チャゼルの前作『セッション』が素晴らしかったから!チャゼル監督はこの『セッション』が長編1作目にして、観客、批評家共に絶賛され、低予算にも関わらず特大ヒットを記録しました。実際に、アカデミー作品賞含む5部門にノミネートされ、助演男優賞(J.K.シモンズ)、編集賞、録音賞の3部門を受賞。チャゼル監督は脚色賞でノミネートされました。『セッション』は自分も大好きで昨年のベスト映画の1つでした。(近しい人には『セッション』を観ろ!と勧めまくっていたのでその熱意が伝わるかと思います。笑)

 

  そしてこの『ラ・ラ・ランド』がチャゼル監督の長編2本目。予算も前作が超低予算(推定330万ドル)だったのに対し、今作は推定3,000万ドル(ほぼ10倍!)というビッグバジェットに。これは公式のTwitterもツイートしていましたが、チャゼル監督はハーバード大学在学中(超エリート!)からこのミュージカル映画の構想があり、『セッション』の大ヒットを受けて、『ラ・ラ・ランド』の企画を売り込んだそうです。

 

  さて、この『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画です。皆さんミュージカル映画と聞くと、どう思いますか?はっきり言って、僕もミュージカル映画は好きか嫌いかで言われればそんなに好きではありません。笑(もちろん良いものもありますが!) 実際、近年ミュージカル映画というジャンルはなかなか観客に受けにくいというのが現状です。数年前に『レ・ミゼラブル』なんかがありましたが、あれは原作ありきなので。ハリウッドのミュージカル映画の最盛期というのは50年代でした。キツい言い方をすると、いわば「時代遅れ」なわけです。今まで、巨匠と言われる数々の映画監督たちがこのハリウッド製ミュージカル映画の復活を試みてきましたが殆どが失敗に終わっています。(『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラ監督の『コットンクラブ』や『タクシードライバーマーティン・スコセッシ監督の『ニューヨーク・ニューヨーク』など。) しかし先に言ってしまいますが、このデイミアン・チャゼル監督は弱冠31歳(『セッション』のときはなんとまだ20代!)にしてハリウッド製のミュージカル映画を大成功させたんです!(アメリカでは封切り週の1館当たりのアベレージが2016年最高の数字でした。)

 

   ではこれから、この『ラ・ラ・ランド』のどこがどんな風に素晴らしいのか、どこに注目して観て欲しいかというのをなるべく分かりやすく解説していきます。基本的にネタバレはありませんが、微妙に話の流れなんかには触れてしまうので、ここまでを読んでこれ以上何も知らずに観たいという人は観終わった後にでもぜひ読んでください。

まだちっとも興味が湧いていない人は、もう少しお付き合い下さい。

 

 

 

 

 

 

   まず、この映画全体で注目して欲しいのが「色使い」です。予告編なんかをみてもらえれば分かると思うんですけど、めちゃくちゃカラフルで美しいんですよ。このカラフルさには理由があるんです。その昔、ハリウッドでまだカラーフィルムが出て間もない頃、一部の超大作だけがカラーで撮られていました。もちろんカラーはモノクロよりも高いため、カラーで撮る映画はなるべくその色を活かすためにわざとめちゃくちゃカラフルにしてたんですね。つまり『ラ・ラ・ランド』はかつてのハリウッドへのオマージュになってるんですね。

   そして、もう1つ全体で注目して欲しいのが音楽です。これは当たり前ですよね、だって「ミュージカル映画」なんですから。笑 あらすじにも書いた通り、主人公の1人がジャズミュージシャンなので物語のテーマの1つがジャズであり、劇中の音楽もジャズミュージックなんです。(『セッション』もジャズのお話でしたね。) だけどこのジャズミュージックがめちゃめちゃノリノリ!これはどうもフランスミュージカル映画へのオマージュになっているみたいですね。50年代ハリウッドのミュージカル黄金期を受けて、フランスでは60年代に、それに捧げる形でたくさんのミュージカル映画が作られました。『ラ・ラ・ランド』はそんなフランス製のミュージカル映画を意識して作られています。とにかく全ての曲がポップで楽しく作られてるので、音楽に疎い人でも絶対にノれるはずです。

主演の2人、エマ・ストーンライアン・ゴズリングの歌も本当に素晴らしい!特にライアン・ゴズリングは今作のためにピアノを猛特訓し、劇中手元のクローズアップのシーンも含め全て自分で演じたそうです。2人はダンスも猛特訓したみたいですね。ダンスも素晴らしい!

   

   ところで、『ラ・ラ・ランド』の原題表記は"La La Land"。 このLaというのはいわゆるLA、つまりロサンゼルスのことです。この映画の舞台はロサンゼルスであり、実際にロスの60箇所以上でロケをしたそうです。ロサンゼルスって道路がほぼ常に大渋滞してるんですよね。『ラ・ラ・ランド』のオープニングはそんなロスの高速道路のシーンから始まります。で、このオープニングが本当に素晴らしいんです!僕がアメリカで公開日に観た時、オープニングの時点で拍手大喝采でした。今現在既に4回観ていますが、なんと4回ともオープニング終了後は拍手大喝采でした。実際にロスの高速道路を封鎖し、約100人ぐらいのエキストラを使った圧巻の歌とダンスシーンは今作のベストシーンの1つです!あと、この映画、劇中歌のシーンでは全てワンカット(カットなし)なんですよね。そんなところも注目しながら観てみてください。

 

   とまあ、この作品基本はとにかく楽しくて、甘酸っぱいラブロマンス映画なんです。しかし、監督は天才デイミアン・チャゼル。日本の漫画ベースのアホみたいな恋愛映画みたいなことにはならないわけです。

具体的には、とある場面からだんだんリアリズムの方向へと移っていきます。ここは具体的にどこと僕が言わなくても誰でも気づくと思うので、あえてどことは書きません。このリアリズムが顕著となって現れるのが、最後の最後の約8分間のシーンです。ここから、あっ!と驚く展開へと移ります。僕がアメリカで観た時、この場面では多くの観客が思わず"Oh"と声を漏らしていました。(この"Oh"がどっちの"Oh"かは観てのお楽しみですね。笑) ちなみに『セッション』のエンディングも凄まじかったですよね。今作もそんな感じのことが起きるわけです!もしかするとこのエンディングシーン、人によっては「ん?」と思う人がいるかもしれないので、少しだけヒントを置いておきます。そのヒントとは「理想」と「現実」です。といってもこれだけ聞いても、なんのこっちゃ!って感じだと思うのでここは実際に劇場で観て確認してみてください。笑

もちろん、アメリカではエンディング後は拍手大喝采。涙ボロボロの人もたくさんいました。

そして、エンドタイトルには"Made in Hollywood, USA"と下に小さく書かれていました。まさしくハリウッド式ミュージカル映画の復活を高らかに歌い上げるかのような本当に素晴らしいエンドタイトルです。

 

 

   長らくお付き合いいただきありがとうございました。ここまで読んで少しでもこの映画を観たい!と思ってくれた人がいれば幸いです。この映画、音楽好きはもちろん、1人でも、男同士でも、女の子同士でも、カップルでも、ファミリーでも誰とでも楽しめる極上の映画になっています。2/24公開以降、是非劇場に足を運んでみてください。特に普段、映画を観ない人にこそ観て欲しいですね。日本はこちらアメリカと違って映画の料金が高いのは分かりますが、それだけの価値がある映画であることを保証します!

もしこれで興味が湧いた人は、是非同監督の前作『セッション』をチェックしてみてください。こちらも本当に素晴らしい音楽映画です。

  

では、また。