全世界特大ヒット! 『ワンダー・ウーマン』がDCを救った!

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『ワンダー・ウーマン (原題: Wonder Woman)』

監督: パティ・ジェンキンス

製作: ザック・スナイダー

出演: ガル・ガドット、クリス・パインロビン・ライト

予告編(日本語版特報): https://youtu.be/ucBEeN-z1u8

日本公開: 8/25(金)

 

【イントロ】

   先週末、ワーナースタジオのDCEU(アメコミDC社が製作する一連の映画シリーズ)より『マン・オブ・スティール』、『バットマンvs. スーパーマン』、『スーサイド・スクワッド』に続く第4弾として、満を辞して『ワンダー・ウーマン』が日本を除く全世界で公開となりました。

先にツイートもしましたが、アメリカ国内だけで100万ドル、全世界累計200万ドルの特大ヒットで初週を迎えました。さらに、女性監督として最大のヒットとなり、『ワンダー・ウーマン』は間違いなくハリウッド映画史に残る作品となりました。

『ワンダー・ウーマン』の作品そのものについても最後に軽く触れますが、今回は製作背景や原作者等について解説します。

 

 

【女性ヒーロー】

   ご存知の方もいるかと思いますが、女性ヒーローが主人公の映画作品は過去にもあります。例えば、『スーパーガール(1984)』、『キャットウーマン(2004)』、『エレクトラ(2005)』などです。しかしはっきり言ってどれもダメダメで、観客、批評家双方から批判されました。

しかし今回の『ワンダー・ウーマン』は違いました。アメリカ最大の映画レビューサイトRotten Tomatoesでは、一般公開前の試写等による批評家支持率が95%を記録し、大絶賛されたのです。(おそらくこの批評家による大絶賛が初週の特大ヒットを後押ししたと思われます。) 

そのうえDCスタジオは、前3作全てが批評家から散々に叩かれ、その結果興収も思ったより伸びず、『ワンダー・ウーマン』で失敗するとかなり厳しい状況でした。劇中のスーパーマンバットマンのピンチをワンダー・ウーマンが救ったように、現実世界でもワンダー・ウーマンがDCを救ったのです。

 

【原作者】

   ワンダー・ウーマンの原作者は、名門ハーバード大卒の心理学者ウィリアム・モールトン・マーストンという人物です。実はこの人がめちゃくちゃ興味深い人物なのですが、話し出すと本当にキリがないので、ここでは簡単に紹介します。(もし興味が出たら、いろいろ調べてみてください。)

このマーストン教授、「サフランジェット(女性参政権を訴える団体)支持者で、妻が2人いて、ボンテージが大好き!」というかなり破天荒な人物なのです。

さらにこの人、心理学者としても優秀で、嘘発見器の発明者でもあります。(ワンダー・ウーマンの使う武器の1つにムチのようなものがあります。これは捕まえた相手は真実しか喋らないという能力があり、明らかに嘘発見器から着想を得ています。)

ところで、アメリカではもうすぐこのワンダー・ウーマンの原作者の実人生を描く映画が公開されます。(マーストン教授を演じるのはルーク・エヴァンス)

"Professor Marston & the Wonder Woman (2017)"

予告編: https://youtu.be/luFQmsbW_5Q

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(マーストン教授と原作コミック)

 

【製作背景】

監督を務めたのは、女性監督パティ・ジェンキンス。この人は、2003年の長編映画監督第1作『モンスター』で、主演のシャーリーズ・セロン(『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』のフュリオサ大隊長!)に主演女優賞をもたらしたことで評価された人です。

主演のワンダー・ウーマンこと、ダイアナを演じたのは(正確には、ワンダー・ウーマンは昨年の『バットマンvs. スーパーマン』から登場している。)、イスラエル出身のガル・ガドット。この人は、「ワイルド・スピード」シリーズなどで有名です。彼女はイスラエルにて兵役の経験があり(イスラエルでは男女問わず兵役の義務あり)、ワンダー・ウーマン役にピッタリ!

しかし、もちろんこのキャスティングはそんなに簡単なものではありませんでした。主演のガル・ガドットがイスラエル出身ということで、レバノンでは『ワンダー・ウーマン』の上映が禁止になりました。(イスラエルレバノンは長年争いを続けている。) 加えて、熱烈な一部アメコミファンからは「ワンダー・ウーマンは、もっと巨乳でなければダメだ。」とまで言われたそうです。(なんてバカげた批判でしょうか。)

また、監督として『モンスター』で評価された、パティ・ジェンキンスも苦難を強いられました。実は彼女は『ワンダー・ウーマン』映画化に向けてずっと働きかけていたのです。(14年ほどかけて企画が実現したそう) というのも、ハリウッドにおいてブロックバスター映画(超高予算映画)の監督を女性が勤めたことが今までなかったからです。とはいっても、ハリウッドには多くの優秀な女性監督がいます。つい先日カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ソフィア・コッポラ(『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』で知られる、巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘)や、『ハート・ロッカー』で女性として初めてアカデミー監督賞を受賞した、キャスリン・ビグロー、女優としても有名なジョディ・フォスターなどです。ただ彼女たちはいわゆるもっと低予算のアート映画を好み、ブロックバスター映画の監督を避けているようです。(実際にソフィア・コッポラ監督はカンヌ国際映画祭のプレスカンファレンスでそう述べていました。)

しかし、結果的にパティ・ジェンキンスはハリウッド映画史に残る偉業を成し遂げたのです。

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(左から、主演のガル・ガドット、ロビン・ライト、監督のパティ・ジェンキンス、手前がクリス・パイン)

 

【映画『ワンダー・ウーマン』見どころ】

   僕も実際に先週見てきました。朝イチの回でほぼ満席に近い状態だったことです。(通常、アメリカでは午前中に映画館に行く人は少ない) あと、印象的だったのはちっちゃな女の子が多かったことです。日本ではよく女性向けの宣伝として、ロマンス要素を前面に出します。しかし、『ワンダー・ウーマン』にはそこまでロマンス要素はありません。女の子だって、敵をバンバンぶっ倒す映画が見たいんです。(しかも、女性主人公が第1次世界大戦の男の兵士をバコバコぶっ倒す!)

それから、音楽にも注目。『バットマンvs. スーパーマン』でワンダー・ウーマンが登場するシーンで流れた、あの超絶カッコいいテーマ曲が今作でもアレンジされて使われています。(ちなみにこのテーマ曲の作曲者はジャンキーXL。彼は『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』のサントラを担当!)

バットマンvs. スーパーマン/ジャスティスの誕生』より、ワンダー・ウーマン登場シーン: https://youtu.be/0VxQHdDDCO4

   それから劇中、露骨なクラシック映画オマージュがいくつかありました。『ローマの休日』は『ワンダー・ウーマン』を観る前に絶対見ておいた方がいいです。ただ、物語を理解するのにたいして小難しい知識は必要ありません。というのも、この『ワンダー・ウーマン』はオリジンストーリーなので、ワンダー・ウーマンがどのように誕生したのか、を描いているからです。強いて言うなら、DCの前の3作『マン・オブ・スティール』、『バットマンvs. スーパーマン/ジャスティスの誕生』、『スーサイド・スクワッド』は今後のためにも見ておいた方がいいかもしれません。(今年11月にマーベルの『アベンジャーズ』のようにスーパーヒーローがアッセンブルする『ジャスティス・リーグ』が公開予定)

最後に僕個人の感想を少しだけ。

正直個人的には、ヌルいシーンがいくつかあり、世間の眼を見張る大絶賛には疑問があります。(日本公開前なので具体的なシーンはここでは伏せます。)

とはいえ、女性監督による女性ヒーローが主人公の映画がこれだけ全世界で特大ヒットした、というのはポップカルチャーが史において非常に大きなときを迎えたように感じます。

皆さん、是非劇場でご覧ください!