全世界特大ヒット! 『ワンダー・ウーマン』がDCを救った!

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『ワンダー・ウーマン (原題: Wonder Woman)』

監督: パティ・ジェンキンス

製作: ザック・スナイダー

出演: ガル・ガドット、クリス・パインロビン・ライト

予告編(日本語版特報): https://youtu.be/ucBEeN-z1u8

日本公開: 8/25(金)

 

【イントロ】

   先週末、ワーナースタジオのDCEU(アメコミDC社が製作する一連の映画シリーズ)より『マン・オブ・スティール』、『バットマンvs. スーパーマン』、『スーサイド・スクワッド』に続く第4弾として、満を辞して『ワンダー・ウーマン』が日本を除く全世界で公開となりました。

先にツイートもしましたが、アメリカ国内だけで100万ドル、全世界累計200万ドルの特大ヒットで初週を迎えました。さらに、女性監督として最大のヒットとなり、『ワンダー・ウーマン』は間違いなくハリウッド映画史に残る作品となりました。

『ワンダー・ウーマン』の作品そのものについても最後に軽く触れますが、今回は製作背景や原作者等について解説します。

 

 

【女性ヒーロー】

   ご存知の方もいるかと思いますが、女性ヒーローが主人公の映画作品は過去にもあります。例えば、『スーパーガール(1984)』、『キャットウーマン(2004)』、『エレクトラ(2005)』などです。しかしはっきり言ってどれもダメダメで、観客、批評家双方から批判されました。

しかし今回の『ワンダー・ウーマン』は違いました。アメリカ最大の映画レビューサイトRotten Tomatoesでは、一般公開前の試写等による批評家支持率が95%を記録し、大絶賛されたのです。(おそらくこの批評家による大絶賛が初週の特大ヒットを後押ししたと思われます。) 

そのうえDCスタジオは、前3作全てが批評家から散々に叩かれ、その結果興収も思ったより伸びず、『ワンダー・ウーマン』で失敗するとかなり厳しい状況でした。劇中のスーパーマンバットマンのピンチをワンダー・ウーマンが救ったように、現実世界でもワンダー・ウーマンがDCを救ったのです。

 

【原作者】

   ワンダー・ウーマンの原作者は、名門ハーバード大卒の心理学者ウィリアム・モールトン・マーストンという人物です。実はこの人がめちゃくちゃ興味深い人物なのですが、話し出すと本当にキリがないので、ここでは簡単に紹介します。(もし興味が出たら、いろいろ調べてみてください。)

このマーストン教授、「サフランジェット(女性参政権を訴える団体)支持者で、妻が2人いて、ボンテージが大好き!」というかなり破天荒な人物なのです。

さらにこの人、心理学者としても優秀で、嘘発見器の発明者でもあります。(ワンダー・ウーマンの使う武器の1つにムチのようなものがあります。これは捕まえた相手は真実しか喋らないという能力があり、明らかに嘘発見器から着想を得ています。)

ところで、アメリカではもうすぐこのワンダー・ウーマンの原作者の実人生を描く映画が公開されます。(マーストン教授を演じるのはルーク・エヴァンス)

"Professor Marston & the Wonder Woman (2017)"

予告編: https://youtu.be/luFQmsbW_5Q

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(マーストン教授と原作コミック)

 

【製作背景】

監督を務めたのは、女性監督パティ・ジェンキンス。この人は、2003年の長編映画監督第1作『モンスター』で、主演のシャーリーズ・セロン(『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』のフュリオサ大隊長!)に主演女優賞をもたらしたことで評価された人です。

主演のワンダー・ウーマンこと、ダイアナを演じたのは(正確には、ワンダー・ウーマンは昨年の『バットマンvs. スーパーマン』から登場している。)、イスラエル出身のガル・ガドット。この人は、「ワイルド・スピード」シリーズなどで有名です。彼女はイスラエルにて兵役の経験があり(イスラエルでは男女問わず兵役の義務あり)、ワンダー・ウーマン役にピッタリ!

しかし、もちろんこのキャスティングはそんなに簡単なものではありませんでした。主演のガル・ガドットがイスラエル出身ということで、レバノンでは『ワンダー・ウーマン』の上映が禁止になりました。(イスラエルレバノンは長年争いを続けている。) 加えて、熱烈な一部アメコミファンからは「ワンダー・ウーマンは、もっと巨乳でなければダメだ。」とまで言われたそうです。(なんてバカげた批判でしょうか。)

また、監督として『モンスター』で評価された、パティ・ジェンキンスも苦難を強いられました。実は彼女は『ワンダー・ウーマン』映画化に向けてずっと働きかけていたのです。(14年ほどかけて企画が実現したそう) というのも、ハリウッドにおいてブロックバスター映画(超高予算映画)の監督を女性が勤めたことが今までなかったからです。とはいっても、ハリウッドには多くの優秀な女性監督がいます。つい先日カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ソフィア・コッポラ(『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』で知られる、巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘)や、『ハート・ロッカー』で女性として初めてアカデミー監督賞を受賞した、キャスリン・ビグロー、女優としても有名なジョディ・フォスターなどです。ただ彼女たちはいわゆるもっと低予算のアート映画を好み、ブロックバスター映画の監督を避けているようです。(実際にソフィア・コッポラ監督はカンヌ国際映画祭のプレスカンファレンスでそう述べていました。)

しかし、結果的にパティ・ジェンキンスはハリウッド映画史に残る偉業を成し遂げたのです。

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(左から、主演のガル・ガドット、ロビン・ライト、監督のパティ・ジェンキンス、手前がクリス・パイン)

 

【映画『ワンダー・ウーマン』見どころ】

   僕も実際に先週見てきました。朝イチの回でほぼ満席に近い状態だったことです。(通常、アメリカでは午前中に映画館に行く人は少ない) あと、印象的だったのはちっちゃな女の子が多かったことです。日本ではよく女性向けの宣伝として、ロマンス要素を前面に出します。しかし、『ワンダー・ウーマン』にはそこまでロマンス要素はありません。女の子だって、敵をバンバンぶっ倒す映画が見たいんです。(しかも、女性主人公が第1次世界大戦の男の兵士をバコバコぶっ倒す!)

それから、音楽にも注目。『バットマンvs. スーパーマン』でワンダー・ウーマンが登場するシーンで流れた、あの超絶カッコいいテーマ曲が今作でもアレンジされて使われています。(ちなみにこのテーマ曲の作曲者はジャンキーXL。彼は『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』のサントラを担当!)

バットマンvs. スーパーマン/ジャスティスの誕生』より、ワンダー・ウーマン登場シーン: https://youtu.be/0VxQHdDDCO4

   それから劇中、露骨なクラシック映画オマージュがいくつかありました。『ローマの休日』は『ワンダー・ウーマン』を観る前に絶対見ておいた方がいいです。ただ、物語を理解するのにたいして小難しい知識は必要ありません。というのも、この『ワンダー・ウーマン』はオリジンストーリーなので、ワンダー・ウーマンがどのように誕生したのか、を描いているからです。強いて言うなら、DCの前の3作『マン・オブ・スティール』、『バットマンvs. スーパーマン/ジャスティスの誕生』、『スーサイド・スクワッド』は今後のためにも見ておいた方がいいかもしれません。(今年11月にマーベルの『アベンジャーズ』のようにスーパーヒーローがアッセンブルする『ジャスティス・リーグ』が公開予定)

最後に僕個人の感想を少しだけ。

正直個人的には、ヌルいシーンがいくつかあり、世間の眼を見張る大絶賛には疑問があります。(日本公開前なので具体的なシーンはここでは伏せます。)

とはいえ、女性監督による女性ヒーローが主人公の映画がこれだけ全世界で特大ヒットした、というのはポップカルチャーが史において非常に大きなときを迎えたように感じます。

皆さん、是非劇場でご覧ください!

 

   

「悪(役)」について考える。

   先日、Netflixオリジナルシリーズの『ハウス・オブ・カード』シーズン5が配信されました。主人公のフランク・アンダーウッドを演じるのは、オスカーに2度輝いている名優ケヴィン・スペイシーです。(作品自体については、以前に記事にしているのでそちらを参照してください。) 

フランクは、持ち前の巧みな話術とキレる頭脳をいかして、アメリカ大統領の座を奪うためにあらゆる手段を尽くします。

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 『ハウス・オブ・カード』は政治ドラマですが、もっと広義で解釈すると、ピカレスク・ロマン(悪漢)と呼ばれるジャンルにあたります。これは16世紀〜17世紀にスペインで流行った小説の形式です。簡単にいうと、要は悪役がメインキャラとして活躍するというジャンルです。最も有名なのは、怪盗アルセーヌ・ルパンでしょう。映画でいえば、ハワード・ホークス監督の『暗黒街の顔役(1932年)』とそのリメイク、ブライアン・デ・パルマ監督の『スカーフェイス(1983年)』でしょう。(ちなみにピカレスクの対義は、ドゥングス・ロマンです。)

ピカレスクにおいて主人公は悪漢なわけですから、悪役が魅力的でないといけないのは当然のことです。またドゥングスにおいても、悪役が魅力的でなければ、主人公は成り立ちません。つまりどちらであろうとも、悪役というものは魅力的でなければならないのです。

 

   僕が「魅力的な悪役」で最初に思いついたのが、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット主演の『イングロリアス・バスターズ(2009)』よりハンス・ランダ大佐です。

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演じたのは本作の演技でアカデミー助演男優賞を受賞したオーストリアの俳優クリストフ・ヴァルツです。(ちなみに彼は、2012年に同監督の次作『ジャンゴ 繋がれざるもの』にて再びアカデミー助演男優賞を受賞しました。)

ランダ大佐の魅力も、『ハウス・オブ・カード』のフランクに似ています。

ランダ大佐は推理力が長けており、話が上手く、言語の天才です。(ネタバレしたくないので、敢えてこういう歯に物の詰まったような言い方にしておきます。) それらを武器に、ユダヤ人らを恐怖に陥れます。しかも見た目は紳士的で愛想もいいのですが、実は中に非常に冷徹な心を持っているというギャップも非常に恐ろしいです。

僕は『イングロリアス・バスターズ』は本当に大好きな作品の1つですが、それもクリストフ・ヴァルツの演技なくして語れないぐらいという彼の演技は本当に素晴らしいです。(現に、監督・脚本のクエンティン・タランティーノに自分の創造したキャラの中でランダ大佐が最も好きで、クリストフ・ヴァルツがいなければ『イングロリアス・バスターズ』は作らなかったと言わしめました。)

 

 

   悪役の魅力には、もちろん見た目も大きく関係してきます。それらを含めて、古今東西全ての悪役の頂点に君臨するのは、間違いなく『スター・ウォーズ(1977)』のダース・ベイダーでしょう。映画を見たことがない人ですら誰もが知っている悪役です。

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日本の侍の甲冑に影響を受けたといわれるヘルメットをはじめ、全身黒づくめのコスチュームに、マント、そしてあの独特の呼吸音。

これは非常に有名なエピソードですが、ダース・ベイダー初登場のシーンでは、船内と手下のストームトルーパーは真っ白です。その中から登場する全身真っ黒のダース・ベイダーインパクトは、コントラストと相まって凄まじいものでした。

https://youtu.be/MftSEu4vgg0

(ダース・ベイダー初登場シーン)

そのほか、アートデザイナーの高橋ヨシキさんがあるコラムにて「身体の欠損や障害も悪役の特徴の1つである」と述べていました。確かにその通りです。

例えば、片手、片足、片眼を失っている海賊などがいい例です。(『ピーターパン』など)

身体の欠損、障害は、ビジュアル的なインパクトと、そこから物語を構築しやすいという理由からポピュラーである、と高橋ヨシキさんは述べています。

それでいうと、先ほど例に挙げたダース・ベイダーもそうです。あのヘルメットは人工呼吸器でもあり、それがあの独特の呼吸音を生み出しています。さらにそこからストーリーが発展し、のちにダース・ベイダーのプリクエル(前日譚)が作られました。

身体の欠損、障害のある悪役の直近の例でいうと、あの大傑作『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』の悪役イモータン・ジョーが挙げられます。

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というわけで、今回は簡単ではありますが悪役について紹介しました。皆さんも小説や映画を見るときは、主人公だけではなく(ピカレスクの場合は言うまでもないですが)悪役に注目してみてはいかがですか?

 

 

マリファナ(大麻)合法化について考える

   今回の記事は一風変わって、いつものポップカルチャーの話ではなく、もっと社会的な(タメになる?)お話をしたいと思います。題して「アメリカを知る」シリーズ。(シリーズと言っても、今後続くかどうかは僕の気分次第なんですけどね。笑) 社会的と言いつつもできるだけ分かりやすく、そして楽しく書いていこうと思ってますのでどうか最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

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 さて皆さん、上の写真が何だか分かりますか?

そうです、マリファナ(大麻)です。(以下、英語発音マリファナで統一) 日本では、無許可所持だと最高で懲役5年、営利目的の栽培は最高懲役10年というかなり重い犯罪となるマリファナ。しかし、本当にマリファナはそんなに害悪なものなのでしょうか?

ご存知の方も多いかと思いますが、僕が今住んでいるアメリカでは、2013年1月よりコロラド州にて医療用マリファナが解禁、翌年1月には嗜好用マリファナも解禁され、コロラド州以外にも一部州(ワシントン州など)で大麻完全合法化となりました。(もちろん取締りの厳しい州もあります。アメリカは日本と違って国の法律よりも州ごとの権力の方が強いため、こういうことが可能になります。日本では一部県だけ解禁といったことはありませんね。)

ちなみに先日の大統領選に伴う、住民投票で僕の住んでいるカリフォルニア州マリファナの合法化が決定しました。

マリファナ解禁が進む一方で、もちろん規制もきちんと整ってきています。

マリファナを合法に購入できるのは21歳以上、一回に購入できる最大量は約28g、これはだいたい日本円で25,000円相当でこれに税金が20%付きます。アメリカではお酒やタバコをお店で買うのも非常に厳しく、必ずI.D.(身分証明書)が必要となります。マリファナ購入も同様です。

 

以上が簡単な、アメリカの現在のマリファナ事情です。

というわけで、今回はマリファナや進むマリファナ合法化について考えていこうと思います。

 

   まず、アメリカでのマリファナの人の認識について説明しましょう。マリファナに関してだけ言えば、(当たり前ですがコカインなんかの薬物は全くの別です。) アルコールやタバコとほぼ同じぐらい浸透しています。ただこれはマリファナが合法化する以前からの話です。よくアメリカのテレビドラマや映画なんかで高校生がマリファナを吸う描写が出てきますが、あれは脚色ではなく、本当に実際あんな感じなのです。おそらくアメリカの高校生は常習性は別として、ほとんど皆んなが一度は吸ったことあると思います。ただもちろんこれは闇ルートでの入手なので、別の問題がありますが。笑 (前に紹介したNetflixのドラマ『13の理由』でもマリファナを売買する高校生が出てきましたね。)

 

では次に、最初に書いた "マリファナは本当に害悪なものなのか?" という問いに答えてしまいましょう。

結論から言うと、マリファナは既に医学的に、アルコールやタバコより人体への影響が少ないというデータが出ています。また最近ではマリファナの効能の方が研究されてきています。(元々アメリカでは戦後からマリファナの毒性の無さは唱えられてきましたが、効能の方はあまり研究されてこなかったのです。)

マリファナと一概に言っても、大きく分けて2種類あります。

1つ目が、医療用マリファナと呼ばれるものです。これは文字通り医学的に用いられるマリファナのことで、医師による処方のもと使用します。例えば、鎮痛剤の代用として(ご高齢の方の関節痛など)、アルコール中毒への治療などで現在使用さています。(アメリカにはアルコール中毒患者が非常に多いです。マリファナは中毒性が弱いため、断酒する際の治療に使用されています。)  

 

   ではマリファナ合法化によってどんなメリットがあるのでしょうか?

たくさんあるとは思いますが、僕は大きく分けて2つあると思います。

 

1つ目が、先に書いたマリファナを売買する闇ルートの遮断、またコカイン等のいわゆる違法ドラッグの取り締まりに一役かうというものです。

マリファナを合法化することによって、条件さえ満たしてしまえば誰でも簡単にマリファナを購入することができるようになりました。つまりわざわざ闇ルートから購入する必要がなくなったのです。その結果、マリファナ売買を行う闇ルートが減っていきます。実際に、コロラド州の2011年と、マリファナ一部合法化された2013年のマリファナを使用した高校生の数は減ったそうです。

さらにもう1つ、コカイン等の強力な薬物の代替品という側面です。アメリカではメキシコ国境間から、メキシカンカルテル(ドラッグ取り引きで生計を立てているメキシコの組織。イタリアンマフィアや日本のヤクザのようなもの。)によって、コカインをはじめとする薬物の流入が長年大きな問題となっています。(トランプがメキシコ国境間に壁を作る。と宣言している理由の1つですね。) 言うまでもないですが、コカインは非常に強力な薬物であり人体に多大な影響を及ぼします。しかしDEA(麻薬取締局)によると、マリファナ合法化以降コカインの流入数が減ってきているそうです。

 

もう1つのマリファナ合法化による大きなメリットは、ビジネスとしての側面です。

もう一度、最初にマリファナを解禁したコロラド州の話をしましょう。コロラド州マリファナを解禁する前まで、ビジネスが非常にうまくいってなかったそうです。そこでマリファナからビジネスとしての活路を見出し、いち早く解禁しました。その結果、どうなったか?世界中からマリファナを求めて観光客が訪れ、急速に発達したのです。しかもコロラド州マリファナにかけている税金(税率20%)を公立学校の整備等にあてているのです。

でもマリファナビジネスを行なっている人って、どうせギャングの端くれなんかのヤバい人達なんでしょ。と言う人がいるかもしれません。これはたくさんネットにインタビュー記事等が上がっているので見ていただければ分かりますが、現在マリファナビジネスを行なっている人の大半が元々全くマリファナに興味ない人達です。彼ら彼女らのほとんどがマリファナが合法化されたときビジネスチャンスだと思い、前の仕事を辞めて投資したと言う人がほとんどなのです。(分かると思いますが、マリファナビジネスはめちゃくちゃ儲かるそう。) マリファナを扱うにはちゃんとした資格が必要で、皆しっかりマリファナについて勉強しています。

 

 

そんなこんなで急速に発達するマリファナ業界ですが、次はもっとマリファナ自体にフォーカスしましょう。

 

一般にマリファナの吸い方には2種類あります。

 

1つが「ジョイント」と呼ばれるものです。

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これはほぼタバコと同じです。マリファナの葉っぱを紙で巻き、先端に火をつけ吸うだけです。もちろんかなり煙が出ますし、マリファナ独特の強い香りもします。(と言ってもほとんどの人が分からないと思いますが。笑) 

 

もう1つの方法が「ボング」と呼ばれるものです。

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(写真2枚目は、映画『テッド』より)

これはいわゆる水パイプです。先端にマリファナの成分を抽出したものを塗って、そこをバーナーで火炙りにしてパイプの口から煙を吸い込むという方法です。(アメリカの映画やドラマで出てくるのはこっちのタイプが多いですね。) ボングには様々なメリットがあります。まず、煙や臭いがほとんど出ないということです。そのため、屋内で使用することができます。さらにマリファナから成分だけを抽出しているため、濃度が濃ゆく、一回でかなり効くのです。

 

 

以上が一般的なマリファナの吸い方ですが、最近はもっとユニークなものもあります。

例えば、マリファナ・コーラ、マリファナ・コーヒー、マリファナ・クッキー、マリファナ・クッキーなどです。これらはマリファナをもっと使用しやすくしたものですね。(アメリカにはタバコ含めて、煙が全くダメという人も結構いるのでそれへの対策でもあります。)ちなみにお値段はマリファナ・コーラを例にとると、コロラド州でだいたい4缶で2,000円ぐらいだそうです。

ただ、食べ物や飲み物にマリファナを混ぜたものと直接吸うのとでは決定的に違うことがあります。それはマリファナが効き始める時間です。

マリファナを直接吸う方は肺の毛細血管からあがってくるため比較的早く効き始めますが、食べ物や飲み物からマリファナを口にするタイプだと、胃で消化されてから効き始めるため比較的遅いのです。その結果、食べても飲んでも効かないのでもっともっとと摂取し、後から一気にガツンとくるということが起こります。あとは、小さい子供が誤って口にしないように気をつけないといけないことでしょうか。ただこれに関しては、小さい子どもが手に取れないように特殊な鍵付きの入れ物なんかが無料で貰えるそうです。

 

 

   マリファナのもう1つ良い点が、大量摂取しても加害者になりにくいという点があります。例えば、アルコールを飲みすぎて暴れたり、ケンカしたりという話をよく聞きますよね?しかし、マリファナは大量摂取しても脱力するだけなのでそういったことはあり得ません。例えば、パンチしようとしても拳に力が入らないのです。しかし、加害者にはなり得なくても、被害者には十分になり得るので十分に気をつけなければなりません。特に女性。前にも話しましたが、パーティーなどでマリファナのやり過ぎでレイプされるということがあり得ます。

ちなみに、マリファナ摂取によって性欲は全く上がりません。ただ食欲はめちゃくちゃ上がるので、ダイエットしたい人なんかはやめたほうがいいですね。笑

ちなみに、マリファナにもお米と同じように品種がもちろんあります。例えば、空を飛んだような気分になる(いわゆるハイってやつ)ものから、鎮痛作用の強いものなどなど。ここで成分の話をしても面白くないと思うので、やめときますが。笑

 

 

   さて、以上長々とマリファナについて話してきました。僕個人の考えでは、将来的に日本でも医療用マリファナだけでも解禁してくれるといいなと思います。というのもアメリカで医療用マリファナのおかげで楽になっている患者さんたちがたくさんいるのです。僕の知り合いに、足を悪くして車椅子生活の方がいます。彼は医療用マリファナを吸っていますが、それなしだと本当にキツイと言っていました。

ちなみにマリファナが合法化なのは何もアメリカだけではありません。アメリカより前からヨーロッパのいくつかの国で既に合法化されています。

このようなマリファナ論については、いろんなところで論じられています。今回で興味を持った方は、是非色々調べてみると面白いかと思います。

次回のこのシリーズでは、黒人問題(Black Lives Matter)か、銃について取り上げられたらいいなと思います。

 

 

ティザーから読み解く『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

   先日、満を辞してスター・ウォーズ シリーズ最新作エピソード8にあたる『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のティザーポスターとティザートレーラーが発表されました。

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↑ティザーポスター

 

まだ"ティザー"の段階なので映像もかなり断片的なものでしたが、実は意外といろんなことが分かるのです。今回はそれを整理していきましょう。

 

 

 

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まず冒頭、レイが何やら苦しそうに目覚める(?)声を上げるシーンから始まります。おそらくこのカットは『フォースの覚醒』でルークの青いライトセーバー(元はアナキンのもの)がレイに見せたビジョン明けに似ているような気がするので、今回もレイが何かしらを見るのではないかと思います。これについては後ほど。

 

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お馴染みのルーカルフィルムのロゴが出た後、"落ち着け、気を鎮めるのだ。そうだ、それでいい。さあ、何が見える?" というナレーションが入ります。最初の2枚は皆さんおわかりのように、前々作『フォースの覚醒』のラストにて、ルークが隠居していた惑星「アク=トゥー」です。(ロケ地はアイルランド世界遺産スケリッグ・マイケル島。ちなみに、これと同じセットがイギリスのパインウッドスタジオに作られているのがドローン撮影にてリークされていました。) この惑星には、『フォースの覚醒』でも若干言及されていたように最古のジェダイ寺院があったらしい惑星で、おそらく今作でかなりキーとなる惑星に間違いありません。これも後ほど詳しくか解説します。

3枚目のカットはおそらく同じく惑星に立つレイの後ろ姿。

4枚目のカットはすごくスター・ウォーズっぽくないカットだと感じました。レイがフォースの訓練をしているところでしょうか?ここは現状ではなんとも言えません。

 

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"何が見える?" の問いに、レイは続けてこう答えます。"光"

これは『フォースの覚醒』でついに見つけ出したルークの居場所を示す地図を見て、何やら考え込んでいるレイア将軍ですね。そしてここから非常に大事な要素が隠れています。耳を澄ましてよーく聞くと、"Help me, Obi-Wan." というエピソード4『新たなる希望』のレイアのセリフが聞こえるのです。

 

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続けてレイはこう答えます。

"闇"

これは粉々になったカイロ・レンのマスクのカットですね。ここでもよーく聞くと、ダースベイダーのあの独特の呼吸音、さらにオビワンの過去作の台詞から、"...seduced by the dark side." というセリフが聞こえます。seduceというのは、誘惑するという意味です。つまり、"暗黒面への誘い…" ということになります。

 

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 最後にレイはこう答えます。

"バランス"

ここは耳をすますと、

"Surrounds us, binds us." という過去作のヨーダのセリフが聞こえます。

そして、ここのカットが非常に大事です。一見、何なのか分からないこの「木」のようなものが1枚目に映っています。これはまさしく「木」です。正確には「フォースの木(もしくは、フォース=センシティブの木)」と言います。もちろん名言はされていませんが、ほぼ間違いないと言っていいでしょう。このフォースの木とは何なのか。もちろん過去の映画では一度も言及されていません。ただ、アニメ(『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』S5)の方で少しだけ言及されています。簡単に説明すると、このフォースの木というのは、フォース感能力を持っており、ジェダイ寺院に植えられていたものです。

もうピンときましたね?おそらく、ルークが最古のジェダイ寺院に行って探していた物というのはこのフォースの木なのです。

さらに2枚目のカット、これはジェダイ寺院の紋章です。ティザーポスターの形に何となく似てますね。これはジェダイ寺院に関する古文書か何かでしょうか?これもいまいちよく分かりません。

もうこれは断言していいと思いますが、エピソード8は「フォース」とは何か、が大きはテーマとなるでしょう。それはまさにプリクエル・トリロジー(エピソード1,2,3)補完エピソード、あるいは肯定エピソードと言ってもいいかもしれません。(スター・ウォーズファンは基本的にプリクエルが嫌いなので、肯定という単語を使いました。このいきさつは長くなるので割愛します。)

ただ僕個人的には、この「フォースの木」であったり、エピソード1で言及されたような「ミディクロリアン」の設定自体あまり好きじゃないので、エピソード8は正直かなり不安になってきました…。

 

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"はるかに巨大だ"

このロングショットもすごく大事です。

おそらく、レイがルークからジェダイの訓練を受けているシーンなのでしょう。この画像だとかなり見にくいですが、真ん中でライトセーバーを振り回しているのがレイです。そのちょっと離れた右にいるのが、おそらくルーク。そして、レイのすぐ左の影。実はこれ、ヨーダが岩の上に立っているのではないか、という説がファンの中で流れています(先ほど説明したフォースの木という説もあり)。もちろん、ヨーダは既に死んでいます。つまりフォースゴースト(霊体)として出てくるという説です。ただ、このカットがどうかは分かりませんが少なくともヨーダがエピソード8に登場するのは、ほぼ間違いないないと思います。ヨーダだけではありません。オビワン、アナキンの2人もほぼ間違いないと言っていいでしょう。なぜなら今作が「フォースとは何か」という話になるからです。(実際、アナキン役俳優のヘイデン・クリステンセンがイギリスのパインウッドスタジオを出入りしている姿がリークされていました。) ヨーダの声優であるフランク・オズも先日、インタビューでエピソード8出演を匂わす発言をしていました。オビワン役のユアン・マクレガーは、ずっと機会さえあればまたオビワンを演じたいと言っていますし。

 

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ここから惑星が変わります。この惑星はCrait(クレイト)と言い、好物に恵まれた惑星だそう。廃墟と化した反乱軍の基地があるとのこと。(レジスタンスではなく、反乱軍)

地面に墜落するレジスタンスの戦闘機。奥にはファーストオーダーのものと思わしき、歩行兵器の姿が見えます。

機体を引きずる際の赤い煙も気になります。

フィン、ポー、BB-8の姿が映った後、タイ・ファイターに追われるミレニアム・ファルコンのカット。

 

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ここでようやく、ファーストオーダーのカイロ・レンが登場。『フォースの覚醒』でレイに付けられた顔の傷が痛々しいです。ライトセーバーも赤い十字形で、おそらく前と変わっていませんが、マスクはやはり付けていません。

 

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ルークがこう言います。

"真実はひとつ"

このカットもかなり興味深いです。

1枚目は明らかにフードを被ったルークとR2-D2で、2枚目はキャプテン・ファズマとトルーパーです。色味がかなり近いので、2枚とも同じ時間軸のような気がします。ただ少しきになるのは、1枚目のルークとR2のカットが、『フォースの覚醒』でライトセーバーがレイに見せたビジョンの一部に酷似しているのです。(もしかすると、ここのシーンがティザートレーラー冒頭のレイが見るビジョンシーンかもしれません。)

ただ正直まだよく分かりません。

 

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『最後のジェダイ』では、前作『ローグ・ワン』終盤のスカリフの戦いのようなスペクタクル宇宙艦隊戦が見れそうです!

 

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そしてこのティザートレーラー最後のセリフとなります。ルークがこう言います。

"ジェダイを滅ぼすときがきた"

元のセリフは、

"It's time for the Jedi... to end."

です。日本語字幕版の映像では、"ジェダイは滅びる" と訳されていました。ただ僕はニュアンス的に "ジェダイを滅ぼす" の方が原語に近いような気がします。

ここからは完全に僕の予想てす。

育てていた弟子がダークサイドへと堕ち(カイロ・レン)、ジェダイ寺院復興のために育てていた他の弟子全てを殺されてしまったルーク。途方にくれ、フォースの木を求め、最後のジェダイ寺院(惑星アク・トゥー)を訪れたルーク。ここで何かを学んだルークは、そもそもジェダイという存在自体が間違っているのではないか、という疑問にぶつかるのではないでしょうか。その結果がティザートレーラーのあの最後のセリフだと思うのです。

また、この最後のカットでルークが立っているこの場所ですが、明るくして拡大するとどうも木の中のように見えます。もしかすると成長して大きくなったフォースの木の中なのかもしれません。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?非常に断片的ですし、まだまだどんな話の展開になるのかは分かりませんが、ちょっとずつ見え始めてきましたね。

次公開されるものはいわゆるトレーラー、本予告編第1弾です。おそらく夏のサンディエゴ・コミコンで公開されると思われます。

公開までまだまだ先ですが、徐々に盛り上がってきました。実は公開前のあぁでもない、こうでもないのやりとりが一番楽しかったりします。笑

スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は12/15全世界同時公開。

 

Netflixオリジナル作品『13の理由』

   前回の記事で、今海外ドラマ特にNetflixをはじめとするストリーミングサービスオリジナルシリーズが熱いという話をしました。今回もNetflixオリジナル作品の話です。

 

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『13の理由』 (原題: 13 Reasoms Why)

製作総指揮: セレーナ・ゴメス、トム・マッカーシー

Netflixにて全13話配信中。

予告編: https://youtu.be/JebwYGn5Z3E

あらすじ: 主人公のクレイ・ジェンセンはシャイな男子高校生。ある日、彼が学校から帰宅すると郵便受けに小包を発見する。中身は13本のカセットテープ。そこには最近自殺したクラスメート、ハンナ・ベイカーの肉声が録音されていた。その内容は、ハンナの自殺に関係した13人についての独白で、13人の中にはクレイも含まれていた…。

 

   今年3/31よりNetflixにて配信開始となった、この『13の理由』。作家ジェイ・アッシャーによるベストセラー同名ヤングアダルト小説の映像化です。製作総指揮に女優で歌手のセレーナ・ゴメスが参加していることもあり、以前から話題になっていました。

 

   この原作のヤングアダルト小説(ティーンエイジャー、いわゆる10代をターゲットとした小説のこと)は2007年に全米で出版されベストセラーとなったのですが、そのあまりに過激な内容に各学校や図書館にて取り扱い中止を求める苦情が殺到したそうです。上記のあらすじを読むとある程度勘付く人も多いかと思いますが、今作はハンナ・ベイカーという女子高生が自殺した理由、つまり「いじめ」がテーマの物語です。ただご存知の通りその手のヤングアダルト小説は山のようにあります。では『13の理由』のどこが他と違うのか?

1つは物語の設定にあると思います。「自殺した女性がカセットテープを残した…」といういわゆる謎解き形式のプロットは、はっきり言って非現実的ですよね。しかしこれはノンフィクションではありません。見る人を惹きつけるための設定として素晴らしいと僕は思います。

全13話の今作は大きく分けて、男子高校生クレイが主人公の現在パートと、自殺した女子高生ハンナが主人公の過去(回想)パート(カセットテープの内容)の2つに分かれ、それがいったりきたりして同時進行しながら話が展開していきます。その中であらゆる伏線が回収されていきます。このように謎が謎を呼ぶ設定やいじめがテーマの話というのは不謹慎なのは分かっていますが、あえて言うといつの時代も非常に人気が出やすいジャンルなのです。

ですから今作も最初は面白半分で見始める人が大半かもしれません。しかし、これは見始めると分かるのですが、この『13の理由』は「いじめ」に限らずだんだんさらに重たいテーマへとなっていきます。(もちろんいじめが重たいテーマではない、という意味ではありません。) 例えばエピソード9ではオープニングクレジットの前に「今エピソードには過激な性的暴力描写を含みます。ご視聴は視聴者の判断に委ねます。」というテロップが出ます。さらにラストの2話は思わず目を瞑りたくなるような描写が続きます。これは何のことでしょうか?ずばり、「レイプ」です。

これについては少し背景を解説する必要があります。日本でも最近若干話題になってきたように思えますが、アメリカでは高校生、大学生のレイプが非常に大きな問題となっています。これについては、レディー・ガガが主題歌"Til It Happens to You"(アカデミー歌曲賞ノミネート)を提供したドキュメンタリー映画『ハンティング・グラウンド』にて、非常に生々しくリアルに描かれています。『13の理由』では、レイプの直接的な描写の他、『ハンティング・グラウンド』でも描かれていたようなレイプがいかに恐ろしいかということが非常にリアルに描かれています。これについては製作陣や役者がインタビューにて語っていますが、専門家や医者、実際の被害者等を交え、最も細心の注意を払って撮影したそうです。実際にレイプされるシーンで被害者の顔にカメラが寄り、その表情を画面いっぱいいっぱいに映す演出はあまりの執拗さに胸が張り裂けそうでした。しかしそのリアリティこそ、製作陣やキャストが望んでいた、視聴者に現実を伝えるという目標達成の鍵なのです。こういったデリケートな話題は通常のスタジオでは作りにくいため、Netflixが製作として関わったのは本当に素晴らしいことです。(詳しいことは前回の記事にて)

 

    これ以上はあまり内容に触れずに製作過程等について話していきます。

まずこの『13の理由』の企画の過程ですが、インタビューによると原作に惚れ込んだセレーナ・ゴメス自身が2011年に企画を持ち込み、もともとはユニバーサル配給で映画化として企画されており、当初の予定ではセレーナ自身が自殺した女子高生ハンナを演じる予定だったそうです。しかし企画が二転三転し、7年かけて最終的にNetflixが製作に加わり全13話のテレビシリーズとなりました。セレーナはハンナ役を別の女優に譲り、実の母親であるマンディ・ティフェイさんとともに製作総指揮に回ることとなりました。この企画をセレーナ・ゴメスが持ち込み、実現にこぎつけたということは非常に意義があります。というのもセレーナとその母親は2人とも過去にいじめを経験しているからです。おそらく日本ではジャスティン・ビーバーの恋人ぐらいしか知られてないかもしれませんが、彼女はもともとディズニーチャンネルのスターとしてキャリアをスタートさせた人です。そのときにいじめを受けていたことを告白しています。

Instagramで世界一のフォロワーを持つセレーナ・ゴメス。そんな彼女がこのような形でその知名度を使うのは、素晴らしいことです。

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(左からハンナ役女優、製作総指揮セレーナ・ゴメス、クレイ役俳優)

   

 

   さらにもう1人注目すべき人物がいます。製作総指揮にクレジットされている(最初に黒太字にした)トム・マッカーシーという人物です。彼は今作のエピソード1と2では監督もしています。このトム・マッカーシーという人は、昨年度のアカデミー賞にて作品賞、脚本賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』の監督、脚本を担当した映画界の人物です。(映画業界の人物がテレビ界に流入している話は以前の記事でもしました。) 彼が『スポットライト 世紀のスクープ』の後に監督、プロデュースした作品がこの『13の理由』だったことも凄く意味のあることです。

ここで軽く、『スポットライト 世紀のスクープ』の紹介をします。

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スポットライト 世紀のスクープ(原題: Spotlight)』(アカデミー賞受賞)

監督: トム・マッカーシー(アカデミー賞ノミネート)

脚本: トム・マッカーシー(アカデミー賞受賞)

出演: マイケル・キートンマーク・ラファロ(アカデミー賞助演男優賞ノミネート)、レイチェル・マクアダムス(アカデミー賞助演女優賞ノミネート)他

予告編: https://youtu.be/EwdCIpbTN5g

あらすじ: 舞台は2001年、アメリカはボストン。新聞紙「ボストン・グローブ」は新しい記者を雇い、少数精鋭のチーム「スポットライト」へ配属されます。そこは独自調査し、調査報道のコーナーを担当していました。新しい記者であるマーティーは、カトリック神父による幼児虐待隠蔽のコラムを読み、これを独自に調査することとします。

最終的に2002年に彼らによって、ものすごい数のカトリック教会による幼児への性的虐待が暴かれました。この大スキャンダルが公となり、カトリック教会は正式に謝罪することとなりました。

 

ここまで読めば分かるかと思いますが、なんとこれ恐るべき実話なのです。この事件の一連の経過は非常に恐ろしいと同時に非常に面白いのですが、時間がかかってしまうのでここでは省略します。しかしこの『スポットライト 世紀のスクープ』でも性的虐待(レイプ)の恐ろしさが非常に生々しく描かれていました。

 

今まで書いてきたように『13の理由』は非常にキツいように思えますが、僕はラストシーンが凄く気に入りました。インタビューにて製作陣はこう語っています。

「この作品は作中と同じ世代のティーンにはもちろん、親御さんや学校の先生なんかにも見てもらいたい。重いテーマのうえ辛いシーンもたくさんあるが、ラストのシーンはとても気に入っているよ。この作品が何かの行動へのきっかけになってくれれば嬉しい。」

 

   いわゆる「お涙頂戴」のヤングアダルト小説に終わらない、この『13の理由』。近年傑作を連発するNetflixからまたしても素晴らしい作品が生まれました。この記事を機にたくさんの人が見てくれることを願っています。

 

 

今、海外ドラマが最高にアツい!オススメ作品5選

   今回はドラマの話です。英語で "Drama" と言うと、映画などのジャンルの1つとなるので日本語で言ういわゆる「ドラマ」というのは一般に "TV series" と言います。ただこの記事内では、日本語での表現に合わせます。その方が分かりやすいと思うので。

   ところで近年、日本のTV業界は視聴率の低迷に苦しんでいる、とよく聞きませんか?(もっと深刻なのは日本人の映画館離れだと思うのですが、今回は置いておきましょう。) 視聴率の低迷というのは、もちろんドラマだけでなくバラエティー等含めたテレビ全体に言えるとことだと思います。これには様々な理由があります。まず1つ挙げるとしたら単純にコンテンツの不足、つまりテレビの内容自体が面白くないということです。(もちろんこれに反論する人も多数いるでしょうが。) もう1つのテレビ離れの大きな要因は、生活や仕事の多様化によって決まった時間に、決まったチャンネルでテレビを見るという習慣が無くなりつつある、ということがあります。さらに製作側はそんな現代の状況下で、視聴率という非常に曖昧な基準を元にコンテンツを製作しなければならないのです。その結果、生み出されるものといえばくだらない恋愛モノであったり、ネタとして出し尽くされたような刑事モノ、推理モノなわけです。(もしこの記事を読んでいる人の中に、好きな方がいたらすいません。)

 

   では、果たしてアメリカでもテレビ業界は同じような状況なのか?

タイトルを見てもらえば1発で分かると思いますが、答えは「ノー」 です。むしろ反対に、テレビ業界がアメリカのエンタメの中心である映画産業を脅かしているのが事実です。

   ではなぜここアメリカでは、今テレビ業界がアツいのか?それを解説していきます。

 

 

   アメリカのテレビ業界が今盛んな理由はいくつかあります。まず1つ目は、テレビの多チャンネル化です。これは簡単に言うと、テレビが多チャンネル化することによって、ドラマ専門のチャンネルであったり映画専門のチャンネルが生まれることによって、各々のチャンネルがそれぞれで自分たちのドラマを作り出したということです。これによって大きく成功したのは、『ブレイキング・バッド』や『ウォーキング・デッド』、『マッドメン』で知られるamcでしょう。(各作品の詳細に関しては後述) amcはアメリカのケーブルテレビ局です。amcは『ブレイキング・バッド』と『マッドメン』でエミー賞(アメリカテレビ番組のアカデミー賞)にて、数十もの賞を受賞。さらに、『ウォーキング・デッド』ではケーブルテレビ史上最高の視聴率を記録しました。

もう1つはHBOというケーブルテレビ局です。HBOは日本でいうWOWOWでしょうか。視聴者からの視聴料を財源としているため、スポンサーが一切つかず、ドラマや映画放送中にコマーシャルが流れることがありません。そしてHBOの何よりの強みはアンダーラインの部分です。スポンサーが一切つかない、ということはどういうことか?簡単に言ってしまえば、自分たちの好きなようにコンテンツを製作できるということです。例えば、言葉や暴力描写、性描写の規制が普通のテレビ局と比べて格段に緩くなるということです。もっと具体的に言いましょう。一番大きいのは "fuck" という単語が使えるということです。このファックという言葉、日本だと「セックスする」という意味で知られていると思います。たしかに間違いではありません。しかし、"fuck" は魔法の言葉なのです!(なにをいっているんだ。) どういうことかというと、fuckは使い方によって良い意味にも悪い意味にもなるのです。(この記事は海外ドラマの記事なので、あまり詳しくfuckという単語については書きませんが。笑) とりあえず、表現の幅がかなり広がるということだけ覚えておいてくれればいいです。

また、HBOの暴力描写、性描写もハンパじゃないです。暴力描写でいえば、首を飛ぶし、血はバシャバシャ出るし、性描写でいえば、おっぱいどころかおまんまんやおちんちんまで出てきます!

こういったものはコンテンツの幅を広げるのに役立ちます。普通のテレビ局では絶対にできないので、差別化にもなりますしね。

作品名でいくと、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』やボクシング中継等で知られるHBOですが、今旬なのはなんといってもファンタジー超大作ドラマゲーム・オブ・スローンズです。先に書いたエミー賞にて、現在史上最多受賞を誇り、2015年と2016年に作品賞を2年連続受賞している今最も評価されているドラマです。(この『ゲーム・オブ・スローンズ』の何がそんなにすごいのかは後述する詳しい作品紹介にて。)

 

 

さて、アメリカのテレビ業界がアツいもう1つの大きな理由はNetflixやHuluに代表される、インターネットストリーミングサービスの普及です。ここで少し言葉の整理をします。僕がここで表記する「ドラマ」というのは、もちろん一般にテレビで放送されるものも指しますが、それと同時にストリーミングサービスで配信されるようなドラマも含みます。

ここでは主にNetflixの話をします。

日本でもそこそこ普及してきたNetflixですが、アメリカでの普及率はそんな比じゃありません。若い世代なんかはほとんどみんな持ってるんじゃないか、という勢いです。

元々Netflixというのは、オンラインレンタルビデオの会社でした。しかし、20世紀終わりに月額制のサービスを開始し、インターネット配信を始めました。これを機に人気が爆発し、今もなお同様の業界内で一位の座を保持しています。Netflixの強みの1つは、HBOと同じくスポンサーがつかないため、何でもかんでも好きなようにコンテンツが作れる、コマーシャルが一切ないことがあります。もう1つの大きな特徴はオンラインストリーミングサービスであることを活かした、全エピソード一挙配信です。僕もそうですが、ドラマってやっぱり一気見する人多いんですよね。通常のテレビドラマだと毎週毎週待たないといけなくて、やきもきしませんか?(この待ってる間が楽しいという人もいますが。) 

今こういったサービスをしているのは、NetflixやHuluだけではありません。あの大手オンラインショップのAmazonも最近自社スタジオで映画やドラマの製作を行っています。(尚、今年度アカデミー賞Amazonスタジオは、主演男優賞脚本賞を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(日本公開は5月予定)で、オンラインストリーミングサービスとして史上初のアカデミー作品賞にノミネートされました。) 

しかし、数あるオンラインストリーミングサービスの中で抜群に面白いのはやっぱりNetflixです。実際、アメリカのNetflixでは自社製作のコンテンツが増え、自社製作以外の映画やドラマの配信が減っているにも関わらず、サービス加入者は増えている、というデータがあります。これはつまり、自社コンテンツのクオリティーが非常に高いということです。

またオンラインストリーミングサービスではテレビの視聴率の代わりに、どこの国や地域ではどの作品が人気か、ということが容易に調べることが出来ます。これも自社コンテンツの充実に繋がるというわけです。エミー賞でも多くのオンラインストリーミングサービスの作品が各部門でノミネートされています。

 

 

 

では、これから実際に数ある海外ドラマの中から、オススメの作品を具体的に挙げながら説明していきます。もしこの中に気になる作品があれば、すぐに見始めましょう!

 

 

1,『ウォーキング・デッド

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原題:The Walking Dead

製作: amc

シーズン数: s1-s7(現在放送中)

出演: アンドリュー・リンカン、ノーマン・リーダス

日本での視聴方法: Netflix、Huluなど

 

【解説】

   『ウォーキング・デッド』は友人に勧められて、僕自身が一番最初にハマった海外ドラマです。なので非常に思い入れが強い作品でもあります。

同名グラフィックノベルを原作とし、『ショーシャンクの空に』等で知られるフランク・ダラボンによって企画化されました。(ダラボンは残念なことにシーズン2をもって今作から手を引いています。)

舞台はゾンビによって荒廃したアメリカです。生存者のグループはウォーカーと呼ばれるゾンビから逃れ、安住の地を求める中で、様々な困難に直面します。なんといっても『ウォーキング・デッド』が魅力的なのは人間vsゾンビももちろんですが、ゾンビによって荒廃した世界(ポスト・アポカリプス) で繰り広げられる人間関係です。

また『ウォーキング・デッド』の何が画期的だったかというと、ゾンビという元はゲテモノであったジャンルをお茶の間に持ってきたらということでしょう。『ウォーキング・デッド』が映画、テレビ業界に与えた影響は非常に大きいです。

最新シーズンももちろん追っていますが、最近ちょっと停滞気味なのが少し気にはなります…(それでも視聴率は毎週ケーブルテレビ局1位)

 

 

2,『ブレイキング・バッド

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原題: Breaking Bad

製作: amc, ソニー・ピクチャーズ

シーズン数: s1-s5(放送終了)

現在、スピンオフ『ベター・コール・ソウル』が同局にて放送中。

出演: ブライアン・クランストン、アーロン・ポール、アナ・ガン他

日本での視聴方法: Netflix、Hulu他

 

【解説】

   「21世紀最高のドラマ」あるいは『史上最高のドラマ』とも称される『ブレイキング・バッド』はS1から批評家から大絶賛を受け、エミー賞では主演のブライアン・クランストン主演男優賞を4年連続受賞、助演のアーロン・ポールが3度受賞、作品賞に5度ノミネートされ、2013年, 2014年に受賞しました。とにかく化け物のようなテレビシリーズです。『ブレイキング・バッド』が素晴らしいのは技術的なところもですが、とにかく役者の演技が凄まじいのでそこに注目して見ていただきたいです。

舞台は、ニューメキシコ。主人公である高校の化学の教師ウォルター・ホワイトは(ブライアン・クランストン)は突如肺がんと診断され、余命わずかと宣告されます。彼は残された期間で、家族のために化学の知識を活かして覚せい剤の一種であるメタンフェタミン(メス)の製造を行い、金儲けを試みます。最初はうまくいくメスのビジネスですが、どんどん深みにハマっていき次第に収拾がつかなくなっていき…という話です。

ブレイキング・バッド』で僕が一番素晴らしいと思うのはシーズンを重ねるごとに、加速度的に評価が上がっていくことです。これはドラマとしては非常に珍しいことです。通常、アメリカのドラマというのは視聴者にウケなければすぐに打ち切りになるし、ウケればなるべく長引かせようとします。その結果、大概のドラマが途中からダレてきてしまうのです。『ブレイキング・バッド』がこうならなかったのは、初めから終わりまできちんとしたビジョンがあり、脚本が非常に練られている、ということです。映画もそうですが、脚本というのはストーリーテリングにおいて核となる部分です。脚本がガタガタであれば、どんなに素晴らしい役者の演技や演出があっても作品全体としては良くならないのです。

最終回は全米で1,000万人以上が視聴し、惜しまれつつフィナーレを迎えたこの大傑作ドラマも非常にオススメです。

 

 

3,『ゲーム・オブ・スローンズ

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原題: Game of Thrones

製作: HBO

シーズン数: s1-s6 (s7は2017年7月から放送予定、s8が2018年夏放送予定で全話終了予定)

出演者: ショーン・ビーンピーター・ディンクレイジエミリア・クラーク

日本での視聴方法: Huluまたはソフト

 

【解説】 

   ついにきました、『ゲーム・オブ・スローンズ』です。今作は僕が一番好きなドラマシリーズです。

ゲーム・オブ・スローンズ』は、ジョージ・R・R・マーティンファンタジー小説氷と炎の歌』を原作とした、魔法やドラゴンが存在する中世ヨーロッパに酷似した架空の大陸ウェスタロスを舞台に多くの登場人物(正確な人数は分かりませんが、台詞のあるキャラクターだけで200人以上いるそうです。)が絡み合う群像劇です。

HBOの看板作品のこの作品こそ現在エミー賞で2年連続作品賞に輝いている、今最もアメリカで人気のシリーズです。

まず、この作品のすごいところはその予算です。なんとパイロット版(実際に長いシーズンを作るためにお試しとして作るもの)ですら500万ドルから1,000万ドルが費やされ、その予算はシーズンを追うごとに増えていき、現状最新シーズンであるシーズン6では全10話に約1億ドル(1話あたり日本円で10億円!これは日本映画の予算と同じぐらいです。)が費やされたそうです。

とにかく映画並みのケタ違いのスケールを誇るのがこの『ゲーム・オブ・スローンズ』ですが、そのクオリティは細部まで徹底的にこだわられています。1つ1つの美術や衣装デザインはどれも本当に美しいです。さらに劇中で出てくるドスラキ語と呼ばれる言語は、なんと言語学者監修のもと実際に言語を作り上げてしまったのです。

また今作は製作HBOということもあり、暴力描写と性描写が半端じゃないです。よく『ゲーム・オブ・スローンズ』が "大人のための『ロード・オブ・ザ・リング』" と言われるのはこれが理由です。(ただ『ゲーム・オブ・スローンズ』はもっと魔法要素の少ないロー・ファンタジーと呼ばれるジャンルなのですが。)

上記の理由から誰にでもオススメできる作品ではありませんが、僕のようにハマる人は本当にハマると思います。

 

 

4,『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

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原題: Hiuse of Cards

製作: Netflix

シーズン数: s1-s4 (s5が2017年春から配信開始)

出演: ケビン・スペイシーロビン・ライトケイト・マーラ

製作総指揮: デヴィッド・フィンチャー

日本での視聴方法: Netflixまたはソフト

 

【解説】

   この作品は僕が最初にNetflixに加入した最大の理由であり、アメリカのテレビ業界を革新的に変えた作品です。どういうことかというと、製作のNetflixはこの作品のシーズン1全13話を一挙配信したのです。今でこそ、一挙配信は当たり前のようですが当時としては非常に革新的だったのです。さらに特筆すべきは、監督、製作総指揮に『ソーシャル・ネットワーク』や『ゴーン・ガール』で知られる映画監督デヴィッド・フィンチャー、主演に『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞に輝いた名優ケビン・スペイシー、という布陣です。さらに複数のエピソードでこちらも『タクシー・ドライバー』や『羊たちの沈黙』で知られる名女優、映画監督のジョディ・フォスターが務めています。ストリーミング作品として初めてエミー賞を受賞した作品でもあります。

ストーリーは、ホワイトハウス入りを目指す下院議員フランク・アンダーウッドが米大統領の座へ上りつめる、というものです。(かなり簡単にまとめましたが、実際のストーリーはもっとすごいことになっています。ただ若干ネタバレになりそうなのであえてここではふせます。)

この『ハウス・オブ・カード』の特徴は、「第四の壁を破る」というものです。この演出は最近だと、アカデミー賞にノミネートされた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』やアメコミ映画『デッドプール』等で使われていました。この手法がどういうものかというと、登場人物がカメラに向かって観るものに語りかける、というものです。これは元の原作であるイギリスのドラマ及び戯曲『リチャード3世』を踏襲しているそうです。

超一流のキャスト、クルーが揃っていることもあり作品自体のクオリティーは半端じゃないです。政治ドラマなのでかなり観る人を選ぶとは思いますが非常にオススメのシリーズです。

 

5,『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

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原題: Stranger Things

製作: Netflix

シーズン数: s1 (2017年10月にs2配信予定)

出演: ウィノナ・ライダー、デヴィッド・ハーバー他

日本での視聴方法: Netflix

 

【解説】

   昨年、Netflixで配信され話題騒然となったSFホラードラマ。

舞台は1980年代アメリカはインディアナ州。そこで少年ウィルが失踪する。彼の母親(ウィノナ・ライダー)や友人たちは捜索を始める。その翌日、謎の能力を持った少女が現れ、事態は大変なことになっていく…。

この『ストレンジャー・シングス』の企画は、あらゆる局で却下され最終的にNetflixへと行き着いたようです。(この企画を拾い上げるNetflixの先見の明もお見事としか言いようがない。)

『ストレンジャー・シングス』は、80年代の作品に多大な影響を受けています。『スター・ウォーズ』はもちろんのこと、スピルバーグ監督の『E.T.』や、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』、『スタンド・バイ・ミー』、『グーニーズ』などなど…挙げだすとキリがありせん。このあたりの作品が好きな人は間違いなくドンピシャでハマります!(80s音楽、映画大好きの僕がまさにこれでした。)

一応は全8話のドラマですが、実際は一本の大長編映画のような作品です。まだシーズン1しか配信されていませんし、(シーズン2が今年のハロウィン配信予定) 気軽に追いつくことができるので非常にオススメです。

 

 

 

   いかがでしたでしょうか。今回の記事では、アメリカのドラマ業界の今と具体的なオススメ作品5つを紹介させてもらいました。まだまだオススメ作品はあるのですが、それはおいおいTwitter等で紹介していけたらなと思っています。

海外ドラマに興味はあるけれど実際にまだ手をつけてない、 というような人って実は結構いるんじゃないかなと思います。そういった方への興味促進に繋がれば嬉しいなと思います。

僕個人のとしては、まずはNetflixの加入(プランは真ん中がオススメ)がオススメです。上記で紹介した5つのうち『ゲーム・オブ・スローンズ』を除く4つを視聴することが可能ですし、Netflix製作のオリジナルシリーズは総じてクオリティーが非常に高いです。

もう1つは、ドラマの強みは映画と違って気軽に見れることだと思います。まずは片っ端からシーズン1の1話を見てみて、自分の好みを見つけるのが良いと思います。

『ラ・ラ・ランド』はなぜ作品賞を逃したか? 作品賞を受賞した『ムーンライト』とは?

   先日、第89回アカデミー賞が終了しました。授賞式前日まで、『ラ・ラ・ランド』一色になることが予想されていましたが、蓋を開けてみるとかなりバランスの取れた結果となりました。さらにクライマックスの作品賞の発表では封筒の「渡し間違い」(あれは読み間違いではありません。) によって、作品賞を逃した『ラ・ラ・ランド』も受賞した『ムーンライト』にとっても、かなり後味の悪い終わり方となりました。しかし間違いとわかった後、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーがすぐさま『ムーンライト』のキャスト、クルーを壇上に上がるよう促す姿はとても素晴らしかったです。『ムーンライト』のキャスト、クルーも『ラ・ラ・ランド』圧倒的優勢だったので、本当に嬉しいサプライズとなったに違いありません。

ところでアカデミー協会は今回を機に運営体制を見直すべきです。本番であんな凡ミスをすることは許されません。ただ実際の票集計は、プライウォーターハウスクーパースと呼ばれる大手の会計会社が行なっていたのですが。笑

   

   さて、簡単ではありますが結果をまとめてみましょう。まず大本命だっ『ラ・ラ・ランド』が主演女優(エマ・ストーン)、監督(デイミアン・チャゼル)、撮影、美術、作曲、歌曲賞の計6つで最多受賞。(ノミネートは13部門) 次点に『ムーンライト』で作品、脚色、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門。その次が『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で主演男優賞(ケイシー・アフレック)と脚本賞を受賞しました。

『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃したのはもちろんですが、当確と言われていた録音賞や衣装デザイン賞、編集賞も逃したのはかなりビックリしました。この3つは事前に発表される組合賞は受賞していたので。しかし、ここから改めて今のアカデミー賞やハリウッドがどういうものかが見えてきます。

 

   1つ目は特に『ラ・ラ・ランド』が当確と言われていた技術賞3つを逃した理由ですが、『ラ・ラ・ランド』を作ったデイミアン・チャゼル監督が若すぎた、というものです。何度も言っていますが、アカデミー賞というのは同業者による内輪投票です。やはり同じ舞台で活躍する同業者として、自分より若い人に入れたくないのは人間の心理ですよね。もちろんこれは演技部門にも同じことが言えます。特に助演部門はずっと若い役者は受賞どころか、ノミネートすら厳しいと言われています。例えば、一昨年の『ルーム』という作品。主演のブリー・ラーソンは主演女優賞を受賞しましたが、同じように眼を見張るような素晴らしいパフォーマンスだった子役のジェイコブ・トレンブレイくんはノミネートすらされませんでした。そしてこういったものが少なからず、今年の受賞結果を左右したようにみられます。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督は今年監督賞と脚本賞にノミネートされていました。脚本賞こそ逃したものの、監督賞を史上最年少(32歳)で受賞しました。監督賞をあげたんだから、作品賞は勘弁してくれというアカデミー会員の心の声が聞こえるように思えます。笑 

 

    そして『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃した理由にはもう1つ大きな要因があります。おそらくこっちの方が大きく結果を左右にしたように思えます。

前回のアカデミー賞で、#oscarsowhite というハッシュタグが流行りました。これは主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞助演女優賞のノミネート20枠に黒人俳優が1人も入らなかったことへの抗議的な意味合いがありました。それに対して今年は助演部門を中心に多くの黒人俳優がノミネートされました。

ただ僕はこれに関して少なくとも昨年のアカデミー賞に関しては、ノミネートに相応するような俳優がいなかったため黒人俳優のノミネートが0だったと思うのです。ただ、今年は黒人俳優のパフォーマンスが素晴らしく、助演部門を受賞したのは両方黒人俳優でした。受賞こそ逃したものの、主演男優賞にノミネートされていたベテラン俳優デンゼル・ワシントンの演技も凄まじかったです。

また授賞式では、黒人が受賞した部門(助演男優賞助演女優賞、脚色賞)全てでスタンディングオーベーションになりました。例年通りであれば、こんなことはまずあり得ません。

アカデミー協会は、近年とくに先に書いた#oscarsowhiteつまり「白すぎるオスカー」をうけて、今年からアカデミー賞の選考員である会員を人種多様な600人以上を増やしたりするなどハリウッドの多様性を目指しています。もちろんこれは今のアメリカの政治的背景にも起因しています。今年の授賞式はかなり政治色が強かったです。司会者のジミー・キンメルをはじめとし、多くのプレゼンターや受賞者がトランプ政権へ、直接的ないしは揶揄する形で批判していました。外国語映画賞を受賞したイラン出身の監督は、先のイスラム7カ国入国禁止を受けて授賞式を辞退、代理の方がスピーチを読みました。こういった社会的背景が作品賞選考にも大きく影響したと考えられます。もちろん人種だけではありません。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダーの頭文字を取った造語)の権利も脅かされています。ご存知の方も多いかもしれませんがアメリカの一部の州(具体的にはノースカロライナ州テキサス州など)では、LGBTに反対するような法案(バスルーム法案)を通そうとしています。これに対し、多くのセレブ達が反対の声明を出しています。

『ムーンライト』の主人公は、ゲイで黒人というマイノリティのお話です。この作品がアカデミー作品賞を受賞するというのは、やはりかなり社会的な意味合いがあるのです。

    

   それでは、いよいよ『ムーンライト』について紹介します。

 

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『ムーンライト』(原題: Moonlight)

監督: バリー・ジェンキンス

脚本: バリー・ジェンキンス、タレル・アーヴィン・マクレーニー

製作総指揮: ブラッド・ピット

出演: マハーシャラ・アリナオミ・ハリス

あらすじ: マイアミに暮らすゲイで黒人の少年が、暴力と貧困の中で成長する姿を少年期、多感な10代、大人へと踏み出す20代、の三幕構成で描く。

日本公開: 3/31 

 

   この作品は『ラ・ラ・ランド』とほぼ対極にあるような映画です。製作費は約5億ドルなので、日本映画とほぼ同じくらいですし、扱っているテーマも『ラ・ラ・ランド』が明るくて楽しいものなのに対し、『ムーンライト』は非常にデリケートでシリアスな題材を扱っています。『ムーンライト』の脚本は、シナリオライターの2人の実際の体験を元に脚色し、出来上がったそうです。ですから全てが実話というわけではありませんが、かといって全く非現実的か、というとそういうわけでもないのです。今年度、今作で助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリは初めてこのシナリオを読んだとき、感動のあまり号泣したそうです。

 

   さて、作品の内容に関しては劇場で観ていただくこととしてここでは別の視点から『ムーンライト』をみていきます。最初にゴシック体で書きましたが、この『ムーンライト』製作総指揮としてブラッド・ピットの名前がクレジットされています。ブラッド・ピットと言えば、僕のオールタイムベストの一本でもある『ファイト・クラブ』や同監督による『セブン』などで知られる俳優ですが、それと同時に、いやもしかしするとそれ以上に、プロデューサーとしての腕が抜群なことで知られています。2013年にアカデミー作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』では出演、製作として携わり、自身もプロデューサーとして見事アカデミー賞を受賞しました。この『それでも夜は明ける』という映画は、アメリカ南北戦争時代の黒人奴隷を描いた作品です。かなり過激な描写等も含まれ、題材もかなりセンセーショナルな題材だったため、多くのメジャースタジオが企画を断ったそうです。しかし、その企画を実現に導いたのがブラッド・ピットだったのです。彼はこの企画を自身のネームバリューを使い、必死にスタジオへ売り込み、見事実現させアカデミー賞を受賞しました。

そして、今回も同じように黒人の苦悩を描く非常に社会的な映画でまたしてもアカデミー賞を受賞したのです。

(ちなみに余談ではありますが、先に書いた『セブン』ではデビッド・フィンチャーを監督としてブラッド・ピットが招へいし、彼の映画監督としてのキャリアを復活させました。) 

今回もやはり、プロデューサーとしてのブラッド・ピットの目利きが素晴らしかったということでしょう。 

『ムーンライト』実は技術的にも凄く革新的なことをしているのですが、誰も興味ないと思うのでここでは省略します。分かりやすいところで言えば、とにかく子役を含めた全ての役者の演技が本当に素晴らしいです。

日本人にはあまり馴染みのないテーマですし、決して万人ウケするような映画ではないかもしれませんが、確実に観る価値のある素晴らしい映画です。是非、劇場にてご鑑賞ください。

 

   僕個人のアカデミー賞の感想としては、多くの人と同様に『ラ・ラ・ランド』を応援していたので