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今、海外ドラマが最高にアツい!オススメ作品5選

   今回はドラマの話です。英語で "Drama" と言うと、映画などのジャンルの1つとなるので日本語で言ういわゆる「ドラマ」というのは一般に "TV series" と言います。ただこの記事内では、日本語での表現に合わせます。その方が分かりやすいと思うので。

   ところで近年、日本のTV業界は視聴率の低迷に苦しんでいる、とよく聞きませんか?(もっと深刻なのは日本人の映画館離れだと思うのですが、今回は置いておきましょう。) 視聴率の低迷というのは、もちろんドラマだけでなくバラエティー等含めたテレビ全体に言えるとことだと思います。これには様々な理由があります。まず1つ挙げるとしたら単純にコンテンツの不足、つまりテレビの内容自体が面白くないということです。(もちろんこれに反論する人も多数いるでしょうが。) もう1つのテレビ離れの大きな要因は、生活や仕事の多様化によって決まった時間に、決まったチャンネルでテレビを見るという習慣が無くなりつつある、ということがあります。さらに製作側はそんな現代の状況下で、視聴率という非常に曖昧な基準を元にコンテンツを製作しなければならないのです。その結果、生み出されるものといえばくだらない恋愛モノであったり、ネタとして出し尽くされたような刑事モノ、推理モノなわけです。(もしこの記事を読んでいる人の中に、好きな方がいたらすいません。)

 

   では、果たしてアメリカでもテレビ業界は同じような状況なのか?

タイトルを見てもらえば1発で分かると思いますが、答えは「ノー」 です。むしろ反対に、テレビ業界がアメリカのエンタメの中心である映画産業を脅かしているのが事実です。

   ではなぜここアメリカでは、今テレビ業界がアツいのか?それを解説していきます。

 

 

   アメリカのテレビ業界が今盛んな理由はいくつかあります。まず1つ目は、テレビの多チャンネル化です。これは簡単に言うと、テレビが多チャンネル化することによって、ドラマ専門のチャンネルであったり映画専門のチャンネルが生まれることによって、各々のチャンネルがそれぞれで自分たちのドラマを作り出したということです。これによって大きく成功したのは、『ブレイキング・バッド』や『ウォーキング・デッド』、『マッドメン』で知られるamcでしょう。(各作品の詳細に関しては後述) amcはアメリカのケーブルテレビ局です。amcは『ブレイキング・バッド』と『マッドメン』でエミー賞(アメリカテレビ番組のアカデミー賞)にて、数十もの賞を受賞。さらに、『ウォーキング・デッド』ではケーブルテレビ史上最高の視聴率を記録しました。

もう1つはHBOというケーブルテレビ局です。HBOは日本でいうWOWOWでしょうか。視聴者からの視聴料を財源としているため、スポンサーが一切つかず、ドラマや映画放送中にコマーシャルが流れることがありません。そしてHBOの何よりの強みはアンダーラインの部分です。スポンサーが一切つかない、ということはどういうことか?簡単に言ってしまえば、自分たちの好きなようにコンテンツを製作できるということです。例えば、言葉や暴力描写、性描写の規制が普通のテレビ局と比べて格段に緩くなるということです。もっと具体的に言いましょう。一番大きいのは "fuck" という単語が使えるということです。このファックという言葉、日本だと「セックスする」という意味で知られていると思います。たしかに間違いではありません。しかし、"fuck" は魔法の言葉なのです!(なにをいっているんだ。) どういうことかというと、fuckは使い方によって良い意味にも悪い意味にもなるのです。(この記事は海外ドラマの記事なので、あまり詳しくfuckという単語については書きませんが。笑) とりあえず、表現の幅がかなり広がるということだけ覚えておいてくれればいいです。

また、HBOの暴力描写、性描写もハンパじゃないです。暴力描写でいえば、首を飛ぶし、血はバシャバシャ出るし、性描写でいえば、おっぱいどころかおまんまんやおちんちんまで出てきます!

こういったものはコンテンツの幅を広げるのに役立ちます。普通のテレビ局では絶対にできないので、差別化にもなりますしね。

作品名でいくと、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』やボクシング中継等で知られるHBOですが、今旬なのはなんといってもファンタジー超大作ドラマゲーム・オブ・スローンズです。先に書いたエミー賞にて、現在史上最多受賞を誇り、2015年と2016年に作品賞を2年連続受賞している今最も評価されているドラマです。(この『ゲーム・オブ・スローンズ』の何がそんなにすごいのかは後述する詳しい作品紹介にて。)

 

 

さて、アメリカのテレビ業界がアツいもう1つの大きな理由はNetflixやHuluに代表される、インターネットストリーミングサービスの普及です。ここで少し言葉の整理をします。僕がここで表記する「ドラマ」というのは、もちろん一般にテレビで放送されるものも指しますが、それと同時にストリーミングサービスで配信されるようなドラマも含みます。

ここでは主にNetflixの話をします。

日本でもそこそこ普及してきたNetflixですが、アメリカでの普及率はそんな比じゃありません。若い世代なんかはほとんどみんな持ってるんじゃないか、という勢いです。

元々Netflixというのは、オンラインレンタルビデオの会社でした。しかし、20世紀終わりに月額制のサービスを開始し、インターネット配信を始めました。これを機に人気が爆発し、今もなお同様の業界内で一位の座を保持しています。Netflixの強みの1つは、HBOと同じくスポンサーがつかないため、何でもかんでも好きなようにコンテンツが作れる、コマーシャルが一切ないことがあります。もう1つの大きな特徴はオンラインストリーミングサービスであることを活かした、全エピソード一挙配信です。僕もそうですが、ドラマってやっぱり一気見する人多いんですよね。通常のテレビドラマだと毎週毎週待たないといけなくて、やきもきしませんか?(この待ってる間が楽しいという人もいますが。) 

今こういったサービスをしているのは、NetflixやHuluだけではありません。あの大手オンラインショップのAmazonも最近自社スタジオで映画やドラマの製作を行っています。(尚、今年度アカデミー賞Amazonスタジオは、主演男優賞脚本賞を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(日本公開は5月予定)で、オンラインストリーミングサービスとして史上初のアカデミー作品賞にノミネートされました。) 

しかし、数あるオンラインストリーミングサービスの中で抜群に面白いのはやっぱりNetflixです。実際、アメリカのNetflixでは自社製作のコンテンツが増え、自社製作以外の映画やドラマの配信が減っているにも関わらず、サービス加入者は増えている、というデータがあります。これはつまり、自社コンテンツのクオリティーが非常に高いということです。

またオンラインストリーミングサービスではテレビの視聴率の代わりに、どこの国や地域ではどの作品が人気か、ということが容易に調べることが出来ます。これも自社コンテンツの充実に繋がるというわけです。エミー賞でも多くのオンラインストリーミングサービスの作品が各部門でノミネートされています。

 

 

 

では、これから実際に数ある海外ドラマの中から、オススメの作品を具体的に挙げながら説明していきます。もしこの中に気になる作品があれば、すぐに見始めましょう!

 

 

1,『ウォーキング・デッド

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原題:The Walking Dead

製作: amc

シーズン数: s1-s7(現在放送中)

出演: アンドリュー・リンカン、ノーマン・リーダス

日本での視聴方法: Netflix、Huluなど

 

【解説】

   『ウォーキング・デッド』は友人に勧められて、僕自身が一番最初にハマった海外ドラマです。なので非常に思い入れが強い作品でもあります。

同名グラフィックノベルを原作とし、『ショーシャンクの空に』等で知られるフランク・ダラボンによって企画化されました。(ダラボンは残念なことにシーズン2をもって今作から手を引いています。)

舞台はゾンビによって荒廃したアメリカです。生存者のグループはウォーカーと呼ばれるゾンビから逃れ、安住の地を求める中で、様々な困難に直面します。なんといっても『ウォーキング・デッド』が魅力的なのは人間vsゾンビももちろんですが、ゾンビによって荒廃した世界(ポスト・アポカリプス) で繰り広げられる人間関係です。

また『ウォーキング・デッド』の何が画期的だったかというと、ゾンビという元はゲテモノであったジャンルをお茶の間に持ってきたらということでしょう。『ウォーキング・デッド』が映画、テレビ業界に与えた影響は非常に大きいです。

最新シーズンももちろん追っていますが、最近ちょっと停滞気味なのが少し気にはなります…(それでも視聴率は毎週ケーブルテレビ局1位)

 

 

2,『ブレイキング・バッド

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原題: Breaking Bad

製作: amc, ソニー・ピクチャーズ

シーズン数: s1-s5(放送終了)

現在、スピンオフ『ベター・コール・ソウル』が同局にて放送中。

出演: ブライアン・クランストン、アーロン・ポール、アナ・ガン他

日本での視聴方法: Netflix、Hulu他

 

【解説】

   「21世紀最高のドラマ」あるいは『史上最高のドラマ』とも称される『ブレイキング・バッド』はS1から批評家から大絶賛を受け、エミー賞では主演のブライアン・クランストン主演男優賞を4年連続受賞、助演のアーロン・ポールが3度受賞、作品賞に5度ノミネートされ、2013年, 2014年に受賞しました。とにかく化け物のようなテレビシリーズです。『ブレイキング・バッド』が素晴らしいのは技術的なところもですが、とにかく役者の演技が凄まじいのでそこに注目して見ていただきたいです。

舞台は、ニューメキシコ。主人公である高校の化学の教師ウォルター・ホワイトは(ブライアン・クランストン)は突如肺がんと診断され、余命わずかと宣告されます。彼は残された期間で、家族のために化学の知識を活かして覚せい剤の一種であるメタンフェタミン(メス)の製造を行い、金儲けを試みます。最初はうまくいくメスのビジネスですが、どんどん深みにハマっていき次第に収拾がつかなくなっていき…という話です。

ブレイキング・バッド』で僕が一番素晴らしいと思うのはシーズンを重ねるごとに、加速度的に評価が上がっていくことです。これはドラマとしては非常に珍しいことです。通常、アメリカのドラマというのは視聴者にウケなければすぐに打ち切りになるし、ウケればなるべく長引かせようとします。その結果、大概のドラマが途中からダレてきてしまうのです。『ブレイキング・バッド』がこうならなかったのは、初めから終わりまできちんとしたビジョンがあり、脚本が非常に練られている、ということです。映画もそうですが、脚本というのはストーリーテリングにおいて核となる部分です。脚本がガタガタであれば、どんなに素晴らしい役者の演技や演出があっても作品全体としては良くならないのです。

最終回は全米で1,000万人以上が視聴し、惜しまれつつフィナーレを迎えたこの大傑作ドラマも非常にオススメです。

 

 

3,『ゲーム・オブ・スローンズ

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原題: Game of Thrones

製作: HBO

シーズン数: s1-s6 (s7は2017年7月から放送予定、s8が2018年夏放送予定で全話終了予定)

出演者: ショーン・ビーンピーター・ディンクレイジエミリア・クラーク

日本での視聴方法: Huluまたはソフト

 

【解説】 

   ついにきました、『ゲーム・オブ・スローンズ』です。今作は僕が一番好きなドラマシリーズです。

ゲーム・オブ・スローンズ』は、ジョージ・R・R・マーティンファンタジー小説氷と炎の歌』を原作とした、魔法やドラゴンが存在する中世ヨーロッパに酷似した架空の大陸ウェスタロスを舞台に多くの登場人物(正確な人数は分かりませんが、台詞のあるキャラクターだけで200人以上いるそうです。)が絡み合う群像劇です。

HBOの看板作品のこの作品こそ現在エミー賞で2年連続作品賞に輝いている、今最もアメリカで人気のシリーズです。

まず、この作品のすごいところはその予算です。なんとパイロット版(実際に長いシーズンを作るためにお試しとして作るもの)ですら500万ドルから1,000万ドルが費やされ、その予算はシーズンを追うごとに増えていき、現状最新シーズンであるシーズン6では全10話に約1億ドル(1話あたり日本円で10億円!これは日本映画の予算と同じぐらいです。)が費やされたそうです。

とにかく映画並みのケタ違いのスケールを誇るのがこの『ゲーム・オブ・スローンズ』ですが、そのクオリティは細部まで徹底的にこだわられています。1つ1つの美術や衣装デザインはどれも本当に美しいです。さらに劇中で出てくるドスラキ語と呼ばれる言語は、なんと言語学者監修のもと実際に言語を作り上げてしまったのです。

また今作は製作HBOということもあり、暴力描写と性描写が半端じゃないです。よく『ゲーム・オブ・スローンズ』が "大人のための『ロード・オブ・ザ・リング』" と言われるのはこれが理由です。(ただ『ゲーム・オブ・スローンズ』はもっと魔法要素の少ないロー・ファンタジーと呼ばれるジャンルなのですが。)

上記の理由から誰にでもオススメできる作品ではありませんが、僕のようにハマる人は本当にハマると思います。

 

 

4,『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

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原題: Hiuse of Cards

製作: Netflix

シーズン数: s1-s4 (s5が2017年春から配信開始)

出演: ケビン・スペイシーロビン・ライトケイト・マーラ

製作総指揮: デヴィッド・フィンチャー

日本での視聴方法: Netflixまたはソフト

 

【解説】

   この作品は僕が最初にNetflixに加入した最大の理由であり、アメリカのテレビ業界を革新的に変えた作品です。どういうことかというと、製作のNetflixはこの作品のシーズン1全13話を一挙配信したのです。今でこそ、一挙配信は当たり前のようですが当時としては非常に革新的だったのです。さらに特筆すべきは、監督、製作総指揮に『ソーシャル・ネットワーク』や『ゴーン・ガール』で知られる映画監督デヴィッド・フィンチャー、主演に『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞に輝いた名優ケビン・スペイシー、という布陣です。さらに複数のエピソードでこちらも『タクシー・ドライバー』や『羊たちの沈黙』で知られる名女優、映画監督のジョディ・フォスターが務めています。ストリーミング作品として初めてエミー賞を受賞した作品でもあります。

ストーリーは、ホワイトハウス入りを目指す下院議員フランク・アンダーウッドが米大統領の座へ上りつめる、というものです。(かなり簡単にまとめましたが、実際のストーリーはもっとすごいことになっています。ただ若干ネタバレになりそうなのであえてここではふせます。)

この『ハウス・オブ・カード』の特徴は、「第四の壁を破る」というものです。この演出は最近だと、アカデミー賞にノミネートされた『マネー・ショート 華麗なる大逆転』やアメコミ映画『デッドプール』等で使われていました。この手法がどういうものかというと、登場人物がカメラに向かって観るものに語りかける、というものです。これは元の原作であるイギリスのドラマ及び戯曲『リチャード3世』を踏襲しているそうです。

超一流のキャスト、クルーが揃っていることもあり作品自体のクオリティーは半端じゃないです。政治ドラマなのでかなり観る人を選ぶとは思いますが非常にオススメのシリーズです。

 

5,『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

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原題: Stranger Things

製作: Netflix

シーズン数: s1 (2017年10月にs2配信予定)

出演: ウィノナ・ライダー、デヴィッド・ハーバー他

日本での視聴方法: Netflix

 

【解説】

   昨年、Netflixで配信され話題騒然となったSFホラードラマ。

舞台は1980年代アメリカはインディアナ州。そこで少年ウィルが失踪する。彼の母親(ウィノナ・ライダー)や友人たちは捜索を始める。その翌日、謎の能力を持った少女が現れ、事態は大変なことになっていく…。

この『ストレンジャー・シングス』の企画は、あらゆる局で却下され最終的にNetflixへと行き着いたようです。(この企画を拾い上げるNetflixの先見の明もお見事としか言いようがない。)

『ストレンジャー・シングス』は、80年代の作品に多大な影響を受けています。『スター・ウォーズ』はもちろんのこと、スピルバーグ監督の『E.T.』や、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』、『スタンド・バイ・ミー』、『グーニーズ』などなど…挙げだすとキリがありせん。このあたりの作品が好きな人は間違いなくドンピシャでハマります!(80s音楽、映画大好きの僕がまさにこれでした。)

一応は全8話のドラマですが、実際は一本の大長編映画のような作品です。まだシーズン1しか配信されていませんし、(シーズン2が今年のハロウィン配信予定) 気軽に追いつくことができるので非常にオススメです。

 

 

 

   いかがでしたでしょうか。今回の記事では、アメリカのドラマ業界の今と具体的なオススメ作品5つを紹介させてもらいました。まだまだオススメ作品はあるのですが、それはおいおいTwitter等で紹介していけたらなと思っています。

海外ドラマに興味はあるけれど実際にまだ手をつけてない、 というような人って実は結構いるんじゃないかなと思います。そういった方への興味促進に繋がれば嬉しいなと思います。

僕個人のとしては、まずはNetflixの加入(プランは真ん中がオススメ)がオススメです。上記で紹介した5つのうち『ゲーム・オブ・スローンズ』を除く4つを視聴することが可能ですし、Netflix製作のオリジナルシリーズは総じてクオリティーが非常に高いです。

もう1つは、ドラマの強みは映画と違って気軽に見れることだと思います。まずは片っ端からシーズン1の1話を見てみて、自分の好みを見つけるのが良いと思います。

『ラ・ラ・ランド』はなぜ作品賞を逃したか? 作品賞を受賞した『ムーンライト』とは?

   先日、第89回アカデミー賞が終了しました。授賞式前日まで、『ラ・ラ・ランド』一色になることが予想されていましたが、蓋を開けてみるとかなりバランスの取れた結果となりました。さらにクライマックスの作品賞の発表では封筒の「渡し間違い」(あれは読み間違いではありません。) によって、作品賞を逃した『ラ・ラ・ランド』も受賞した『ムーンライト』にとっても、かなり後味の悪い終わり方となりました。しかし間違いとわかった後、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーがすぐさま『ムーンライト』のキャスト、クルーを壇上に上がるよう促す姿はとても素晴らしかったです。『ムーンライト』のキャスト、クルーも『ラ・ラ・ランド』圧倒的優勢だったので、本当に嬉しいサプライズとなったに違いありません。

ところでアカデミー協会は今回を機に運営体制を見直すべきです。本番であんな凡ミスをすることは許されません。ただ実際の票集計は、プライウォーターハウスクーパースと呼ばれる大手の会計会社が行なっていたのですが。笑

   

   さて、簡単ではありますが結果をまとめてみましょう。まず大本命だっ『ラ・ラ・ランド』が主演女優(エマ・ストーン)、監督(デイミアン・チャゼル)、撮影、美術、作曲、歌曲賞の計6つで最多受賞。(ノミネートは13部門) 次点に『ムーンライト』で作品、脚色、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門。その次が『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で主演男優賞(ケイシー・アフレック)と脚本賞を受賞しました。

『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃したのはもちろんですが、当確と言われていた録音賞や衣装デザイン賞、編集賞も逃したのはかなりビックリしました。この3つは事前に発表される組合賞は受賞していたので。しかし、ここから改めて今のアカデミー賞やハリウッドがどういうものかが見えてきます。

 

   1つ目は特に『ラ・ラ・ランド』が当確と言われていた技術賞3つを逃した理由ですが、『ラ・ラ・ランド』を作ったデイミアン・チャゼル監督が若すぎた、というものです。何度も言っていますが、アカデミー賞というのは同業者による内輪投票です。やはり同じ舞台で活躍する同業者として、自分より若い人に入れたくないのは人間の心理ですよね。もちろんこれは演技部門にも同じことが言えます。特に助演部門はずっと若い役者は受賞どころか、ノミネートすら厳しいと言われています。例えば、一昨年の『ルーム』という作品。主演のブリー・ラーソンは主演女優賞を受賞しましたが、同じように眼を見張るような素晴らしいパフォーマンスだった子役のジェイコブ・トレンブレイくんはノミネートすらされませんでした。そしてこういったものが少なからず、今年の受賞結果を左右したようにみられます。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督は今年監督賞と脚本賞にノミネートされていました。脚本賞こそ逃したものの、監督賞を史上最年少(32歳)で受賞しました。監督賞をあげたんだから、作品賞は勘弁してくれというアカデミー会員の心の声が聞こえるように思えます。笑 

 

    そして『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃した理由にはもう1つ大きな要因があります。おそらくこっちの方が大きく結果を左右にしたように思えます。

前回のアカデミー賞で、#oscarsowhite というハッシュタグが流行りました。これは主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞助演女優賞のノミネート20枠に黒人俳優が1人も入らなかったことへの抗議的な意味合いがありました。それに対して今年は助演部門を中心に多くの黒人俳優がノミネートされました。

ただ僕はこれに関して少なくとも昨年のアカデミー賞に関しては、ノミネートに相応するような俳優がいなかったため黒人俳優のノミネートが0だったと思うのです。ただ、今年は黒人俳優のパフォーマンスが素晴らしく、助演部門を受賞したのは両方黒人俳優でした。受賞こそ逃したものの、主演男優賞にノミネートされていたベテラン俳優デンゼル・ワシントンの演技も凄まじかったです。

また授賞式では、黒人が受賞した部門(助演男優賞助演女優賞、脚色賞)全てでスタンディングオーベーションになりました。例年通りであれば、こんなことはまずあり得ません。

アカデミー協会は、近年とくに先に書いた#oscarsowhiteつまり「白すぎるオスカー」をうけて、今年からアカデミー賞の選考員である会員を人種多様な600人以上を増やしたりするなどハリウッドの多様性を目指しています。もちろんこれは今のアメリカの政治的背景にも起因しています。今年の授賞式はかなり政治色が強かったです。司会者のジミー・キンメルをはじめとし、多くのプレゼンターや受賞者がトランプ政権へ、直接的ないしは揶揄する形で批判していました。外国語映画賞を受賞したイラン出身の監督は、先のイスラム7カ国入国禁止を受けて授賞式を辞退、代理の方がスピーチを読みました。こういった社会的背景が作品賞選考にも大きく影響したと考えられます。もちろん人種だけではありません。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダーの頭文字を取った造語)の権利も脅かされています。ご存知の方も多いかもしれませんがアメリカの一部の州(具体的にはノースカロライナ州テキサス州など)では、LGBTに反対するような法案(バスルーム法案)を通そうとしています。これに対し、多くのセレブ達が反対の声明を出しています。

『ムーンライト』の主人公は、ゲイで黒人というマイノリティのお話です。この作品がアカデミー作品賞を受賞するというのは、やはりかなり社会的な意味合いがあるのです。

    

   それでは、いよいよ『ムーンライト』について紹介します。

 

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『ムーンライト』(原題: Moonlight)

監督: バリー・ジェンキンス

脚本: バリー・ジェンキンス、タレル・アーヴィン・マクレーニー

製作総指揮: ブラッド・ピット

出演: マハーシャラ・アリナオミ・ハリス

あらすじ: マイアミに暮らすゲイで黒人の少年が、暴力と貧困の中で成長する姿を少年期、多感な10代、大人へと踏み出す20代、の三幕構成で描く。

日本公開: 3/31 

 

   この作品は『ラ・ラ・ランド』とほぼ対極にあるような映画です。製作費は約5億ドルなので、日本映画とほぼ同じくらいですし、扱っているテーマも『ラ・ラ・ランド』が明るくて楽しいものなのに対し、『ムーンライト』は非常にデリケートでシリアスな題材を扱っています。『ムーンライト』の脚本は、シナリオライターの2人の実際の体験を元に脚色し、出来上がったそうです。ですから全てが実話というわけではありませんが、かといって全く非現実的か、というとそういうわけでもないのです。今年度、今作で助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリは初めてこのシナリオを読んだとき、感動のあまり号泣したそうです。

 

   さて、作品の内容に関しては劇場で観ていただくこととしてここでは別の視点から『ムーンライト』をみていきます。最初にゴシック体で書きましたが、この『ムーンライト』製作総指揮としてブラッド・ピットの名前がクレジットされています。ブラッド・ピットと言えば、僕のオールタイムベストの一本でもある『ファイト・クラブ』や同監督による『セブン』などで知られる俳優ですが、それと同時に、いやもしかしするとそれ以上に、プロデューサーとしての腕が抜群なことで知られています。2013年にアカデミー作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』では出演、製作として携わり、自身もプロデューサーとして見事アカデミー賞を受賞しました。この『それでも夜は明ける』という映画は、アメリカ南北戦争時代の黒人奴隷を描いた作品です。かなり過激な描写等も含まれ、題材もかなりセンセーショナルな題材だったため、多くのメジャースタジオが企画を断ったそうです。しかし、その企画を実現に導いたのがブラッド・ピットだったのです。彼はこの企画を自身のネームバリューを使い、必死にスタジオへ売り込み、見事実現させアカデミー賞を受賞しました。

そして、今回も同じように黒人の苦悩を描く非常に社会的な映画でまたしてもアカデミー賞を受賞したのです。

(ちなみに余談ではありますが、先に書いた『セブン』ではデビッド・フィンチャーを監督としてブラッド・ピットが招へいし、彼の映画監督としてのキャリアを復活させました。) 

今回もやはり、プロデューサーとしてのブラッド・ピットの目利きが素晴らしかったということでしょう。 

『ムーンライト』実は技術的にも凄く革新的なことをしているのですが、誰も興味ないと思うのでここでは省略します。分かりやすいところで言えば、とにかく子役を含めた全ての役者の演技が本当に素晴らしいです。

日本人にはあまり馴染みのないテーマですし、決して万人ウケするような映画ではないかもしれませんが、確実に観る価値のある素晴らしい映画です。是非、劇場にてご鑑賞ください。

 

   僕個人のアカデミー賞の感想としては、多くの人と同様に『ラ・ラ・ランド』を応援していたので

 

 

〜『ラ・ラ・ランド』補足説明とラストの解釈〜

【ネタバレ注意】

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   ミアとセブは映画館に行ったあと、グリフィス天文台へと行きます。ここのプラネタリウムのシーンで、ミアとセブが宇宙へ飛んでいき壮大な音楽にのせて2人でダンスするシーンがあります。正直「なんだよこのシーンは!」と思った人も少なからずいると思います。

   先に答え合わせからしてしまうと、これは2人の気持ちの高まりを表す比喩表現です。もっと具体的にいうと、恋に落ちたばかりの2人は天(宇宙)にも登るような気持ちで踊る、という意味合いです。この気持ちの高ぶりの比喩表現というのは映画でしかできない術ですし、チャゼル監督がインタビューでも言っていたように感情の高ぶりを最も表現しやすいジャンルがラブストーリーやミュージカルというわけです。ミュージカルでは、感情の高ぶりとともに、歌ったり踊ったりしますよね。天から降りてきた2人は、ようやく初めてキスをします。(これより前のシーンでキスしようとして失敗するシーンが2回挟まれているのがここを引き立てます。)
   ちなみにですが、この映画の比喩表現というのは実は結構頻繁に使われています。例えば最近の作品で印象的な使われ方をしていたのは、前々回のアカデミー賞で作品賞他4部門を受賞した(ちなみにエマ・ストーンはこの作品で初めてアカデミー賞にノミネートされました。)『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』です。あの映画の"バードマン"という存在は当たり前ですが全て現実ではなく、主人公の比喩になっています。これを知ってから、この作品を観ると難解そうな映画ですが案外すんなり理解できますよ。

 

 

   

 

   そして、いよいよお待ちかねのラストについてです。先に言っておきますが、今から書くのはあくまで僕個人の解釈です。映画というのは観た人全員に解釈の余地があるわけであまり自分の考えを押し付けたくはないのですが、『ラ・ラ・ランド』のラストはたった10分弱ですがあまりの怒涛のシークエンスに、1回観ただけだと意外とピンときてない人が多いんじゃないかと思います。是非参考程度に聞いてください。

 

   例のシークエンスの解釈の前に、まずはじっくり最後のパートをおさらいしていきましょう。

   ミアのオーディションが終わったあと、テロップに再び「冬」と出たあと突然「5年後」のテロップが出ます。初見時、あまりの急展開にビックリしたのを今でも覚えてます。笑

   最初に画面に映るのは5年後のミアです。ミアはコーヒーを買いにワーナー・ブラザースのカフェへと入ります。気づいた人がほとんどだとは思いますが、ここはミアが女優で成功することを夢みて働いていた場所ですね。ミアが店内に入ったときの店内にいた人のリアクション等から彼女が有名人である、というのが分かります。(このようになんでもかんでも言葉で説明しないスマートさが僕は大好きです。最近の映画はなんでもかんでも台詞で説明しようとするので。) 

   続いて、5年後のセブが一瞬映ります。再びミアの方へと戻ると、なんとミアは知らない男と結婚しているのです。(アメリカの劇場では、ここの場面でOhhhとどよめきが起きてました。笑) セブは今も独身のままであるように見えます。ミアとその旦那はフラリとジャズバーへ立ち寄ります。そのジャズクラブとはセブのクラブであり、ミアが5年前に作った"Seb♪s"の看板が使用されています。おそるおそる席に座ったミアは、ついにセブと顔を合わせます。それに気づくセブ。少し間を置いたあと、"ようこそ、セブズへ"と言い、ピアノの席へ座ります。何かを振り絞るかのように演奏を始めるセブ。その曲とは、2人が5年前に初めて出会った時にセブが演奏し、解雇されてしまった曲です。(サントラでは、Mia&Sebastian's Theme つまりミアとセブのテーマ曲という名前になっています。) ここからフラッシュバックのように(もちろんこれはフラッシュバックではありませんが) 2人が初めて出会った場面へと切り替わります。しかしここが5年前と違うのは2人が歩み寄りながらそのままキスするところです。ここから音楽が終わるまでが最初に怒涛のシークエンスと呼んだところです。

 

  まずこのシークエンスは一体何か。ずばり、全てが良い方向に進む2人の理想ないしは、夢です。1回観ただけだと、全てを追うのは無理だと思いますがこのシークエンスに出てくるほとんどが5年前とそっくりです。ただ違うのは、全てがうまくいっているというところです。例えば、ミアの一人芝居。実際はほとんど客が入っていませんでしたが、ここのシークエンスでは満席になっています。この理想、夢のような楽しくて、美しい場面を表現するのに、壮大な音楽はもちろんですが映画冒頭のような色彩豊かな画面が復活します。ちなみにこのラストシークエンスは『シェルブールの雨傘』と『巴里のアメリカ人』という2つのミュージカル映画をミックスしたような構成になっています。

   では、このシークエンスは一体どちら(ミアかセブか)視点なのか? この理想の恋模様は一見、ミアのデザインしてくれた看板を使って、独身のままおそらく5年間ずっとミアを待ってきたであろうセブの視点のように見えます。でも僕はこれはミアの視点だと解釈しています。なぜか。1つはこの場面でのミアの表情です。決して明るくはない、すごく切ない表情をしています。あのシークエンスはセブがずっと待ち焦がれていた夢ではなく、5年前に2人がそれぞれの夢 (女優として成功すること、自分のジャズクラブを持つこと) を追いながら2人で夢みていた理想、つまり全てうまくいき2人が幸せな家庭を築くこと、なのです。それをミアが5年ぶりに再会したセブの演奏を見て、思い出しているように僕は感じました。

   セブによる演奏が終わり、再び現実へと戻ります。ミアは店を出ようとします。ミアは店を出る間際、後ろを振り返ります。ゆっくり微笑むセブ、それに応えるようにミアも微笑みます。セブは頷き、ミアは店を後にします。

この一連のやりとりは何か?

間違いなくこれは、2人が5年前に抱いていたお互いの夢を2人とも叶えたぞ。という見つめ合いでしょう。つまりそれは2人の人生の選択が正しかったということです。例えばもし、ミアがオーディションに合格したあとセブがミアについて行き、パリに行っていたとしたら?もしかすると彼の夢は叶わなかったかもしれません。

   僕がアメリカの友人に『ラ・ラ・ランド』を進めた時、よく言われたのが最後のバッドエンディング (ミアとセブが結ばれなかったという意味) が納得いかない、というものでした。

僕自身、これは非常に切ない"ハッピーエンディング"だと思っています。なぜなら、『ラ・ラ・ランド』はの物語ではなく、の物語だからです。

2人が出会わなければお互い夢は叶わなかったけれども、夢を叶えるためには一緒にいられなかった。別れた2人は目線を交わし、切ないハッピーエンド。

   映画は最後、ミアと別れたセブが "1,2, 1,2,3,4" とカウントを取りながら幕を閉じます。セブの人生はここからまた始まるのです。おそらくずっとミアを想っていたであろうセブは辛いに違いありませんがその痛みの連続、選択の連続が人生です。しかし、どんなに打ちのめされてもまたいつか "Another Day of Sun" 「陽はまた昇る」のです。そしてこれは映画冒頭で多くの夢追い人たちが歌い、踊っていた曲名でもあります。(やや強引かもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』は変則的な円環構造になっていると言えると思います。)

多くの馬鹿のような夢追い人(The Fools Whi Dream)たちが(これはミアがオーディションで歌う曲名)、打ちのめされ、出会い、悲しみ、手を取り合い、そして前に進む、そんな場所がLa La Landなのです。

 

   そしてこれが多くの人々、特にハリウッドを中心とした業界人にウケている理由の1つだと思います。彼ら彼女らはきっと同じような経験をしていきているはずです。だからこの作中のミアやセブの気持ちが痛いほど分かるんだと思います。 

   

   『ラ・ラ・ランド』はストーリーはすごくシンプルだけどラストの解釈を含め、観終わった後にあれやこれやと考えることで作品の捉え方が変わってくる作品だと思います。これを読んで2回目に行きたくなった人がいれば幸いです。

 

 

    

   

 

   

アカデミー賞主要6部門受賞予想と解説

作品賞

『ラ・ラ・ランド』
*対抗: 『ムーンライト』

監督賞
デイミアン・チャゼル 『ラ・ラ・ランド』
*対抗: バリー・ジェンキンス 『ムーンライト』

主演男優賞
ケイシー・アフレックマンチェスターバイ・ザ・シー』
*対抗: デンゼル・ワシントン "Fences" (原題)

主演女優賞
エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』
*対抗: ナタリー・ポートマン 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

助演男優賞
マハーシャラ・アリ 『ムーンライト』
*対抗: デブ・パテル 『LION ライオン 25年目のただいま』

助演女優賞
ビオラデイビス "Fences"
*対抗: ナオミ・ハリス 『ムーンライト』

 

ー解説ー
ゴールデングローブ賞史上最多7部門受賞他、アカデミー賞前哨戦を大きくリードしてきた『ラ・ラ・ランド』が本戦でも大量受賞することが予想される。上の主要6部門には対抗も入れたが、作品賞、監督賞、主演女優賞は当確と言っていいだろう。また、昨年の『マッドマックス/怒りのデスロード』のように技術賞も大量受賞することが予想される。脚本賞、編集賞、撮影賞、録音賞、美術賞、衣装デザイン賞、作曲賞、主題歌賞("City of Stars)を受賞すると思う。ただ主題歌賞は同部門に2曲がノミネートされたため票割れする可能性がある。その場合はディズニー作品『モアナ』の主題歌の可能性もあり。
同じく前哨戦でぶっちぎりリードしていた主演男優賞の『マンチェスターバイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックには黄色信号。先日発表された、最もアカデミー賞に影響する俳優組合賞を逃したのだ。同様に内輪投票であるアカデミー賞も同じように逃す可能性(なぜ内輪投票を逃すのか、にはワケあり。)があるため、対抗にデンゼル・ワシントンとした。助演男優賞助演女優賞はほぼ当確だろう。

とにかく今年のアカデミー賞は『ラ・ラ・ランド』一色になること間違いなし。日本は本国より公開が2ヶ月ほど遅れているが、この10年に一度の素晴らしい大傑作を是非とも劇場にて観賞していただきたい。

アカデミー賞ノミネート発表直前SP

   今年もこの季節がやって参りました。そう、エンタメ業界最大のお祭りと言っていいでしょうアカデミー賞です。現地時間2月26日に開催される式を前に、現地時間1月24日火曜日早朝(日本だと水曜日の夜ごろですかね?)に各部門のノミネート作品が発表されます。その後現地の朝のニュースでノミネート作品が発表されるわけです。

   今回は、このアカデミー賞についてやノミネート発表の注目などを書いていこうと思います。

 

 

 

   まず、アカデミー賞とは主要6部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞助演女優賞)と呼ばれるものと、その他技術賞(脚本賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、視覚効果賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ、ヘアスタイル賞、録音賞、音響編集賞、作曲賞、主題歌賞)と呼ばれるものに加え、外国語映画賞やドキュメンタリー賞、アニメーション賞、短編賞などが合わさったものです。これらをアカデミー会員と呼ばれる、公式の会員が投票して賞が決定するわけです。

 

ところで、このアカデミー賞各部門には全て各々の組合が存在します。(例えば、全米俳優組合、全米監督組合など) この各々の組合員はだいたいアカデミー会員でもあり、それぞれ自分の分野に投票することでアカデミー賞が決定するのです。さらにアカデミー賞の前にはそれぞれの組合賞が発表されます。つまり、アカデミー賞とそれぞれの組合賞はだいたい一致することが多いわけです。

ただし、作品賞に関しては全員が投票権を持っているため最後まで予想がしにくい。

 

 

   ざっとではありますが、アカデミー賞というのはこんな感じです。

では、今年度アカデミー賞ノミネート発表の注目は何ぞやというわけです。

 

ズバリ、前に紹介した『ラ・ラ・ランド』の最多ノミネートと、アメコミ映画『デッドプール』の作品賞ノミネート、そして長編アニメーション賞の『君の名は。』とスタジオジブリ『レッドタートル』の日本からのノミネートがあるかどうか、です。

順を追って説明していきましょう。

 

 

    まず、『ラ・ラ・ランド』の最多ノミネートについて。先日開催されました、ゴールデングローブ賞で驚異的な強さを見せつけ、ノミネート7部門全て受賞、さらには史上最多受賞作品となりました。監督賞を31歳で受賞したデイミアン・チャゼルは、『ゴッドファーザー』などで知られる巨匠フランシス・フォード・コッポラの32歳で受賞という記録を破り、最年少での受賞となりました。ちなみに、僕は前の記事でこの『ラ・ラ・ランド』の無双を断言していましたね。笑

この結果を受けて、アカデミー賞にかなり弾みがつきました。というよりこの『ラ・ラ・ランド』という映画、実はアカデミー賞の方が相性が良いんです。というのも、前の記事にも書いたかと思いますが『ラ・ラ・ランド』の原題表記は"La La Land"であり、もちろんこのLaというのはロサンゼルスのことです。とにかくこの映画はロサンゼルス愛に溢れた映画なわけです。そして、先に書いたようにアカデミー賞に投票するのはだいたいがロサンゼルスに住むアカデミー会員。そうです。絶対、バイアスがかかるに決まってるんです。笑 実際、ロスで行われた試写では号泣する人が続出でラスト拍手大喝采だったそう。

というわけで、作品的にも技術的にも素晴らしいこの作品が最多ノミネートになるだろうというわけです。主題歌賞なんかは5つのノミネートのうち、2,3つノミネートされてもおかしくないですね。

(『ラ・ラ・ランド』ノミネート予想: 作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、作曲賞、主題歌賞、編集賞、撮影賞、録音賞、音響編集賞、美術賞、衣装デザイン賞)

 

 

 

   2つ目の注目ポイントはアメコミ映画『デッドプール』の作品賞ノミネートです。まさかのゴールデングローブ賞で、作品賞と主演男優賞にノミネートされた『デッドプール』。スタジオ側もふざけつつアカデミー賞へのアピール動画なんかもあげていました。しかもここに追い打ちをかけるがのごとく、先日発表された全米製作組合賞にて、『デッドプール』がノミネートされたのです!製作組合は作品賞に直結すると言われているので、ひょっとするとひょっとするかもしれません…。みなさんご存知のように、基本的にアカデミー賞というのは社会派の映画が好まれ、アクション映画やアメコミ映画なんてのは蚊帳の外だったわけです。今年度はそれをうちやぶるかが注目ですね。

 

 

 

   最後の注目ポイントは、日本より『君の名は。』と『レッドタートル』の長編アニメーション賞のノミネートです。アカデミー賞最大の前哨戦であるゴールデングローブ賞では双方ノミネート外となってしまいましたが、アカデミー賞ではどうでしょうか。ちなみに、ゴールデングローブ賞を投票するのは外国人記者なので、アカデミー賞とは投票する層は違います。アカデミー賞スタジオジブリの作品を好む傾向にあり、アメリカでの批評家受けも良いため、『レッドタートル』はノミネートされるんじゃないかと思われます。さて、日本では特大ヒットを記録した『君の名は。』はどうでしょうか。僕個人の率直な意見としては、「可能性がなくはない。」という感じです。実際、アメリカでの批評家受けは抜群に良いです。まだ試写段階で一般公開はされていませんが、公開されている批評はかなり良い。しかも、アカデミー賞ではわりと興行収入というのが後押しします。『君の名は。』は日本に限らず、アジア圏ではかなりヒットしているみたいなのでそれが若干の後押しにはなるかもしれません。さらに、先日発表された、ロサンゼルス批評家協会賞の長編アニメーション賞は『君の名は。』が受賞しました。

こういった観点から、可能性がなくはないと思います。ただアメリカ国内の今年のアニメーションもかなり良かったのでなかなか厳しいかもしれません。是非、ノミネートされることを祈りましょう!

 

 

 

   アカデミー賞の予想は、本式典の直前2月ごろにまたこのような形にしてアップしたいと思います。といってもだいたい現時点で予想がついているのがほとんどなのですが…笑 

 

ではまた。

 

デンマークの鬼才、ニコラス・W・レフンの世界

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   昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、賛否両論を呼んだ作品が1/13に日本でも公開されます。

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『ネオン・デーモン』(原題: The Neon Demon)

監督: ニコラス・ウィンディング・レフン

出演: エル・ファニングキアヌ・リーヴス

あらすじ: 誰もが羨む美貌を持つ主人公ジェシーはトップモデルを目指しロサンゼルスに移り住む。特別な存在の彼女はすぐにトップモデルとしての道を歩み始めることに。しかしそんな彼女を妬む友人やモデルたちがジェシーをどんな手を使ってでも引きずり降ろそうとし始める…。

 

 

   冒頭で、"鬼才"と表現した監督のニコラス・ウィンディング・レフン。彼はデンマーク出身の映画監督です。まずなんといっても彼の名前を一躍有名にしたのが、2011年の映画『ドライヴ』。

 

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『ドライヴ』(原題: Drive)

監督: ニコラス・ウィンディング・レフン

出演: ライアン・ゴズリングキャリー・マリガンブライアン・クランストン

あらすじ: 闇の稼業に手を染めた孤独なスタント・ドライバーが、愛する女性のために裏組織に戦いを挑む姿を描く。卓越したドライビング・テクニックを持つ寡黙な男。昼は映画のカースタントマンとして活躍する一方、夜には強盗の逃走を手助けする闇の仕事も請け負っていた。そんな彼は、夫が服役中の人妻アイリーンと親しくなる。やがて夫が出所してくるが、彼は服役中に作った借金のせいで強盗を強要されていた。男はアイリーンのために夫の強盗計画を手助けするのだが…。 (TSUTAYA onlineより引用)

 

   レフン監督はこの映画でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。一躍その名を全世界に轟かせました。主演のライアン・ゴズリングがその年のアカデミー主演男優賞にノミネートされなかったことに対して、俳優のラッセル・クロウがアカデミー会員にブチ切れるという事件もありました。さらにこんなエピソードも。もともとこの『ドライヴ』はヒュー・ジャックマン主演でメジャースタジオの別企画として進んでいました。しかし企画が頓挫し、主演がライアン・ゴズリングへ移ります。そこで雇用契約(?)の一部に主演俳優が監督を指名できるという権利が含まれていたらしく、ライアンはレフン監督を一本釣りしたそう。

結果的に、『ドライヴ』はかなり異質で不思議な映画になりました。しかし一部には熱狂的なファンを持ちます。(僕もそのうちの1人ですが。)

例えば、劇中で主人公の名前が一切出てきません。("ドライバー"とだけ紹介される。)それからセリフが極端に少ないです。(どうもこれは脚本に元々あったものをレフン監督が取っ払ったらしい。)しかし、ライアンの演技力が素晴らしいので観客は、セリフがなくてもドライバーの人間性がわかるのです。そして、画面がとにかく美しく、カラフル。これはレフン作品の特徴でもあります。実はこれには訳があって、レフン監督は色弱のため中間色が普通の人より見えにくいそう。従って、あえてビビッドなカラーを使っているらしいです。

 

   内容についてはとりあえず、観て欲しいので敢えて何も詳しいことは書きませんが1つだけ。この映画のとある場面で、近年稀に見る映画史上に残るであろう「名キスシーン」が出てきます。美とバイオレンスが共存するレフン監督にしかできない素晴らしいシーンです。ここで照明の当て方に注目して観てみてください。もっと簡単に言えば、光の使い方ですね。(アメリカの映像の勉強では、ここのクリップが教材として使われるそうですよ。)

 

 

 

   そしてようやく、レフン監督最新作『ネオン・デーモン』のお話。実はこの映画僕の記憶が正しければ、アメリカに来て最初に観た映画なんですよね。(たぶん)あとAmazon studioが配給なので北米のAmazonではプライムビデオで観れるので、もう一度見直しました。最初に観たときにツイートしたと思うんですけど、とにかくこの映画「変態」です。(もちろんいい意味で!)セクシャルな意味の「変態」ではなく、どちらかというと「気持ち悪い」というニュアンスでの「変態」です。(セクシャルなシーンもありますが。)

まず、主演のエル・ファニングですよ。ここでポイントなのが、ちょうどエルが18歳になったとのことで、より過激な演技をさせることができるようになったこと。彼女、本当に素晴らしい女優さんなんですよね。個人的には今年度アカデミー主演女優賞ノミネート級の演技だと思います。(ただ現実的にはないと思いますが。笑 もしノミネートされたらサプライズですね。) ただ、おそらくいずれはそういった演技派の役者になることは間違いないと思います。そして、そのきっかけとなるのがこの『ネオン・デーモン』でしょう。アメリカでもうすぐ公開の"20th Century Women"でも演技が高く評価されているみたいですね。こちらももうすぐアメリカ公開ベン・アフレック監督、主演の『夜に生きる(原題: Live by Night)』でも主要キャストの1人を演じています。着実にキャリアを伸ばしていって嬉しい限りです。

そういえば、これは駄話ですが冒頭でも書いたカンヌ国際映画祭にて、レフン監督とエル・ファニングがレッドカーペットでチューして、エルのファンが怒っていました。笑

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   今回は、僕も大好きなニコラス・W・レフン監督と彼の監督作『ドライヴ』と『ネオン・デーモン』のザックリとした紹介でした。

 

 

   そして、次回予告ですが次回は映画会社としてのディズニーというテーマで書こうと思っています。これも度々ツイートしていますが、特に近年のディズニー映画(自社スタジオ、自社アニメーションスタジオ、ピクサースタジオ、マーベルスタジオ、ルーカスフィルム含む)は90%と言っていいでしょう、映画としての出来が凄まじいぐらい素晴らしいです。それは批評家受けだけでなく、興行収入としても大成功しているわけです。昨年2016年は、全世界で約70億ドル(約8200億円)、業界新記録を樹立しました。以下、シネマトゥデイさんより引用。

   ウォルト・ディズニー・スタジオの傘下であるディズニー、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ、ピクサー・アニメーション・スタジオ、マーベルスタジオ、ルーカスフィルムがそれぞれ手掛けた映画がすべて公開されたのは今年が初めて。

   2015年の年末に封切られた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の累計興収のおよそ37%が2016年に稼いだものとなっているほか、マーベルヒーロー同士の衝突を描いた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、ピクサーの傑作アニメ『ファインディング・ニモ』の続編『ファインディング・ドリー』、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオからは動物たちが登場人物の『ズートピア』と南の島を舞台に16歳の少女の冒険を描いた『モアナと伝説の海』、そして名作アニメを最先端技術で実写化した『ジャングル・ブック』に、日本では来年1月27日に公開予定のベネディクト・カンバーバッチ主演『ドクター・ストレンジ』が貢献した。

この映画会社ディズニーの特に近年の大躍進の理由とは何なのか?こういったことに関して解説します。

『ラ・ラ・ランド』〜『セッション』監督が贈る珠玉のミュージカル映画〜

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昨年末、本当に素晴らしい映画を観ました。是非、日本でも皆さんに観ていただきたいと思いこのような形を取らせていただきました。その映画がこちら、

 

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『ラ・ラ・ランド』(原題: La La Land)

監督: デイミアン・チャゼル

出演: エマ・ストーンライアン・ゴズリング、J.K.シモンズ

公開: 12/25/2016(U.S.), 2/24/2017(JPN)

あらすじ: ハリウッド女優になることを夢見るミア(エマ・ストーン)と、自分のジャズ音楽の店を持つことを夢見るセバスチャン(ライアン・ゴズリング)。この2人がひょんなことから出会い、恋に落ちるのだが…

予告編: https://youtu.be/tlyqz57sHgM

 

   今年度、世界三大映画祭の1つトロント映画祭では観客賞(最高賞)を受賞、さらにベネチア映画祭ではエマ・ストーンが主演女優賞を受賞した、今年度アカデミー作品賞最有力候補の呼び声高いこの『ラ・ラ・ランド』。(洋画の日本語版ポスターのアカデミー賞最有力候補!みたいなのは大抵信じるなって僕はいつも言ってるんですが、今回は本物なのでまあよしとしましょう。) 主演を務めるのは『ドライヴ』のライアン・ゴズリングと『アメイジングスパイダーマン』でヒロインを演じたエマ・ストーンです。実はこの映画、制作がアナウンスされたとき映画ファンの間では凄く期待されていたんです。というのが、今作の監督デイミアン・チャゼルの前作『セッション』が素晴らしかったから!チャゼル監督はこの『セッション』が長編1作目にして、観客、批評家共に絶賛され、低予算にも関わらず特大ヒットを記録しました。実際に、アカデミー作品賞含む5部門にノミネートされ、助演男優賞(J.K.シモンズ)、編集賞、録音賞の3部門を受賞。チャゼル監督は脚色賞でノミネートされました。『セッション』は自分も大好きで昨年のベスト映画の1つでした。(近しい人には『セッション』を観ろ!と勧めまくっていたのでその熱意が伝わるかと思います。笑)

 

  そしてこの『ラ・ラ・ランド』がチャゼル監督の長編2本目。予算も前作が超低予算(推定330万ドル)だったのに対し、今作は推定3,000万ドル(ほぼ10倍!)というビッグバジェットに。これは公式のTwitterもツイートしていましたが、チャゼル監督はハーバード大学在学中(超エリート!)からこのミュージカル映画の構想があり、『セッション』の大ヒットを受けて、『ラ・ラ・ランド』の企画を売り込んだそうです。

 

  さて、この『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画です。皆さんミュージカル映画と聞くと、どう思いますか?はっきり言って、僕もミュージカル映画は好きか嫌いかで言われればそんなに好きではありません。笑(もちろん良いものもありますが!) 実際、近年ミュージカル映画というジャンルはなかなか観客に受けにくいというのが現状です。数年前に『レ・ミゼラブル』なんかがありましたが、あれは原作ありきなので。ハリウッドのミュージカル映画の最盛期というのは50年代でした。キツい言い方をすると、いわば「時代遅れ」なわけです。今まで、巨匠と言われる数々の映画監督たちがこのハリウッド製ミュージカル映画の復活を試みてきましたが殆どが失敗に終わっています。(『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラ監督の『コットンクラブ』や『タクシードライバーマーティン・スコセッシ監督の『ニューヨーク・ニューヨーク』など。) しかし先に言ってしまいますが、このデイミアン・チャゼル監督は弱冠31歳(『セッション』のときはなんとまだ20代!)にしてハリウッド製のミュージカル映画を大成功させたんです!(アメリカでは封切り週の1館当たりのアベレージが2016年最高の数字でした。)

 

   ではこれから、この『ラ・ラ・ランド』のどこがどんな風に素晴らしいのか、どこに注目して観て欲しいかというのをなるべく分かりやすく解説していきます。基本的にネタバレはありませんが、微妙に話の流れなんかには触れてしまうので、ここまでを読んでこれ以上何も知らずに観たいという人は観終わった後にでもぜひ読んでください。

まだちっとも興味が湧いていない人は、もう少しお付き合い下さい。

 

 

 

 

 

 

   まず、この映画全体で注目して欲しいのが「色使い」です。予告編なんかをみてもらえれば分かると思うんですけど、めちゃくちゃカラフルで美しいんですよ。このカラフルさには理由があるんです。その昔、ハリウッドでまだカラーフィルムが出て間もない頃、一部の超大作だけがカラーで撮られていました。もちろんカラーはモノクロよりも高いため、カラーで撮る映画はなるべくその色を活かすためにわざとめちゃくちゃカラフルにしてたんですね。つまり『ラ・ラ・ランド』はかつてのハリウッドへのオマージュになってるんですね。

   そして、もう1つ全体で注目して欲しいのが音楽です。これは当たり前ですよね、だって「ミュージカル映画」なんですから。笑 あらすじにも書いた通り、主人公の1人がジャズミュージシャンなので物語のテーマの1つがジャズであり、劇中の音楽もジャズミュージックなんです。(『セッション』もジャズのお話でしたね。) だけどこのジャズミュージックがめちゃめちゃノリノリ!これはどうもフランスミュージカル映画へのオマージュになっているみたいですね。50年代ハリウッドのミュージカル黄金期を受けて、フランスでは60年代に、それに捧げる形でたくさんのミュージカル映画が作られました。『ラ・ラ・ランド』はそんなフランス製のミュージカル映画を意識して作られています。とにかく全ての曲がポップで楽しく作られてるので、音楽に疎い人でも絶対にノれるはずです。

主演の2人、エマ・ストーンライアン・ゴズリングの歌も本当に素晴らしい!特にライアン・ゴズリングは今作のためにピアノを猛特訓し、劇中手元のクローズアップのシーンも含め全て自分で演じたそうです。2人はダンスも猛特訓したみたいですね。ダンスも素晴らしい!

   

   ところで、『ラ・ラ・ランド』の原題表記は"La La Land"。 このLaというのはいわゆるLA、つまりロサンゼルスのことです。この映画の舞台はロサンゼルスであり、実際にロスの60箇所以上でロケをしたそうです。ロサンゼルスって道路がほぼ常に大渋滞してるんですよね。『ラ・ラ・ランド』のオープニングはそんなロスの高速道路のシーンから始まります。で、このオープニングが本当に素晴らしいんです!僕がアメリカで公開日に観た時、オープニングの時点で拍手大喝采でした。今現在既に4回観ていますが、なんと4回ともオープニング終了後は拍手大喝采でした。実際にロスの高速道路を封鎖し、約100人ぐらいのエキストラを使った圧巻の歌とダンスシーンは今作のベストシーンの1つです!あと、この映画、劇中歌のシーンでは全てワンカット(カットなし)なんですよね。そんなところも注目しながら観てみてください。

 

   とまあ、この作品基本はとにかく楽しくて、甘酸っぱいラブロマンス映画なんです。しかし、監督は天才デイミアン・チャゼル。日本の漫画ベースのアホみたいな恋愛映画みたいなことにはならないわけです。

具体的には、とある場面からだんだんリアリズムの方向へと移っていきます。ここは具体的にどこと僕が言わなくても誰でも気づくと思うので、あえてどことは書きません。このリアリズムが顕著となって現れるのが、最後の最後の約8分間のシーンです。ここから、あっ!と驚く展開へと移ります。僕がアメリカで観た時、この場面では多くの観客が思わず"Oh"と声を漏らしていました。(この"Oh"がどっちの"Oh"かは観てのお楽しみですね。笑) ちなみに『セッション』のエンディングも凄まじかったですよね。今作もそんな感じのことが起きるわけです!もしかするとこのエンディングシーン、人によっては「ん?」と思う人がいるかもしれないので、少しだけヒントを置いておきます。そのヒントとは「理想」と「現実」です。といってもこれだけ聞いても、なんのこっちゃ!って感じだと思うのでここは実際に劇場で観て確認してみてください。笑

もちろん、アメリカではエンディング後は拍手大喝采。涙ボロボロの人もたくさんいました。

そして、エンドタイトルには"Made in Hollywood, USA"と下に小さく書かれていました。まさしくハリウッド式ミュージカル映画の復活を高らかに歌い上げるかのような本当に素晴らしいエンドタイトルです。

 

 

   長らくお付き合いいただきありがとうございました。ここまで読んで少しでもこの映画を観たい!と思ってくれた人がいれば幸いです。この映画、音楽好きはもちろん、1人でも、男同士でも、女の子同士でも、カップルでも、ファミリーでも誰とでも楽しめる極上の映画になっています。2/24公開以降、是非劇場に足を運んでみてください。特に普段、映画を観ない人にこそ観て欲しいですね。日本はこちらアメリカと違って映画の料金が高いのは分かりますが、それだけの価値がある映画であることを保証します!

もしこれで興味が湧いた人は、是非同監督の前作『セッション』をチェックしてみてください。こちらも本当に素晴らしい音楽映画です。

  

では、また。